住宅ローンジャーナル

住宅ローンのボーナス払いを変更する方法と注意点

(構成・文=横山 晴美/ファイナンシャルプランナー)

住宅ローンの返済をしていく中で「思ったよりも負担が重い」と誤算が生じることはあるでしょう。

もしくは逆に思ったよりも余裕があることもあるかもしれません。

傾向として、会社の業績によって増減があるボーナス払いは返済計画が崩れやすい部分ですので、返済に悩みやすい部分です。

やりくりして当初の契約通りに返済していく方法もありますが、返済方法を変更するのも一つの手です。

ここでは、住宅ローンのボーナス払いの変更を検討している人に向けて、ボーナス払いの変更ができるかどうかと、可能な場合のメリットと注意点を紹介します。

住宅ローンのボーナス払いを変更することはできるのか

まず気になるのが、「住宅ローンの支払い方法(ボーナス払い)は当初の契約から変更できるのか」でしょう。

結論からいえば、変更できる余地はあります。

ただし具体的な変更内容によって難易度は異なり、終的な判断は金融機関が行います。

ボーナス払いとは

ボーナス払いはそれのみが独立した支払い方法ではなく、毎月の支払いと合わせて捉えます。実際にボーナス払いは「割合」で表現されます。

例えば住宅ローンの額が3000万円であるときに、ボーナス返済の割合が20%なら毎月の支払いで返済していく額は2400万円で、ボーナスで返済していく分が600万円だからです。

ボーナス払いの額を変更するは言い換えると、「毎月払い分とボーナス払い分の金額内訳を変更」する方法といえます。

そのため、ボーナス払いの額が増えれば、その分毎月返済額は減りますし、ボーナス払いの額を減らせば、毎月返済額の額は増えていきます。

もしかしたら、気軽に「ボーナス払いをちょっと減らしたい」と考えている人もいるかもしれませんが、ボーナス払いの変更は、住宅ローン契約に関わる重大な変更なのです。

そのため、返済方法を変更するに個別の審査が行われることもあります。

ボーナス払いを変更する場合の流れ

インターネット上や店舗などで所定の手続きを踏むことで、スムーズにボーナス払いの割合変更ができることもありますが、審査が必要になるケースもあります。

そういったケースでは一般的に次のようなステップを踏みます。

ステップ1 相談

借入先の金融機関にボーナス払い変更の相談をします。

変更後の返済額がどのように変わるか、今後の手続きなどについて確認します。

ステップ2 申請手続き

ボーナス払い変更の申込書類を作成・提出します。

ステップ3 審査

金融機関や保証会社による審査が行われます。

ステップ4 実行

変更が容認されれば、ボーナス払い変更の契約を締結します。

このようなステップを踏む場合は一定の時間がかかります。

もしもボーナス払いの負担が大きく、返済への影響が深刻な場合は、ボーナス払いまでに変更が完了するよう早めに行動を起こします。

ボーナス払いを変更する前に知っておきたいこと

返済額全体における、ボーナス払いの割合は金融機関ごとに上限が定められています。

通常は40~50%が上限で、その範囲内で変更できる余地が生じます。

つまり、ボーナス払いのみで100%返済するといった方法を選択することはできません。

また、「ボーナス払いあり」から「0%(ボーナス払いなし)」への変更は難しいケースが多いようです。

ボーナス払いが苦しい場合も、「0%(ボーナス払いなし)」で申し込むのではなく、返済が可能な割合まで下げる戦略をとったほうが希望は通りやすいでしょう。

なお、ボーナス払いの変更が無事に認められた場合、変更に関する手数料や印紙税が発生することがあります。変更を申し込む前にかかる費用についても確認しておくことをおすすめします。

ボーナス払いが苦しくとも滞納は避ける

ボーナス払いの割合を変更する場合に、避けなければならないのが事前の滞納です。

一度滞納したからといって、直ちに競売にかけられるようなことはありませんが、延滞が生じた時点で金融機関の対応が厳しくなります。

さらに、一度の滞納であっても返済が遅れた分の「遅延損害金」が発生してしまうので、家計にとってもダメージが大きいです。

なお、滞納が続くと最悪の場合競売にいたりますが、競売手続きに進むのは早くても延滞から半年程度経過してからです。

それまでは催告書や督促状が送られてくる期間です。

ただし競売に進む前でも、信用情報に傷がついてしまう懸念が大きいことに注意します。

住宅ローンのボーナス払いを変更する場合のメリットと注意点

ボーナス払いの変更は、割合を減らしたいと考える人が多いと思いますが、なかには割合を増やしたい人もいるでしょう。

割合を減らす場合と増やす場合に分けてメリットと注意点を紹介します。

ボーナス払いの割合を減らした場合

メリットは、ボーナスへの依存度が低くなることです。

ボーナスは変動する可能性が高い収入ですので、頼らないで返済できるのなら、そのほうが返済は安定します。

ただし既述の通り、ボーナス払いの割合が減った分は毎月の返済割合に反映されます。

毎月返済額が増額するため、いくら返済額が増えるのが確認し、毎月の返済が滞ることのない割合で申し込みましょう。

また、いつの引き落としから支払い額が増えるのかも確認し、うっかり口座残高が不足しないように注意します。

ボーナス払いの割合を増やす場合

ボーナス払いと毎月返済額のバランスを調整できるのがメリットです。

ボーナス払いを増やすのは、一般的には想定していたよりもボーナスが多く余裕がある場合でしょう。

余裕がある分増やすのであれば問題はないようにも思えますが、今後ボーナスが減ってしまうと一気に返済が苦しくなってしまうかもしれません。

そのためボーナス返済の割合変更ではなく、余裕分の一部繰り上げ返済も検討します。

なおボーナス払いの増額を家計から見ると、今までボーナス払いで賄ってきた支出がうまく回らなくなる可能性があります。

車や家電などの大きな支出をボーナスで賄っている家は多いものです。住宅ローンの返済が増えてもボーナスが不足しないかよく検討します。

実は、ボーナス払いの割合を増やすことで総返済額が多くなる場合もあります。

ボーナス返済は半年の支払いとなりますので、毎月返済する場合と比較して返済するまでの期間が長くなります。

返済しない期間は元金が減らず、その間の利息が大きくなるのです。

金利が低い場合は大きな違いは生じませんが、金利が高い場合は金融機関から返済表を確認して金額を確認します。

ボーナス払いの変更により問題が解決しない場合の対策

ボーナス払いの変更は、減額・増額に関わらずできない可能性があります。

ボーナス払い以外の選択肢としては住宅ローンの借り換えがあります。

住宅ローンを借り換えなら、新たな条件で申し込むことができるからです。

現在の住宅ローンよりも低い金利での借り換えならば、返済額そのものが減らせる可能性があります。

ただし、事務手数料や抵当権設定登記になどの諸経費が発生しますし、健康状態によっては借り換えが行えません。

なお、返済が苦しくてボーナス払いの変更を検討している場合、返済が苦しくなった理由によっては、住宅ローン債務その者の減免が受けられる可能性があります。

具体的には台風や集中豪雨など自然災害に被災した場合や、新型コロナウイルス感染症の影響により収入が大きな打撃を受けたような場合です。

こういった場合は、「自然災害債務整理ガイドライン」の適用になる余地があります。

このガイドラインは、特定調停手続きを活用した債務整理です。

調整手続きは専門家の支援を受けながら行うことができますし、本制度を利用して債務整理したとしても、信用情報に傷がつくことはありません。

住宅ローンのボーナス払い変更は慎重に

住宅ローンのボーナス払いを変更することは、その後の返済計画を大きく左右します。

金融機関の審査を受けることがありますが、仮に審査がない場合でも毎月返済額への影響をよく確認してから変更に望みましょう。

ボーナス払いを増やすにせよ、減らすにせよメリットとデメリットがあります。

ボーナス払いの手続きをしてしまった後に後悔しないよう、慎重に行いましょう。

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