中古マンションや中古住宅の購入でも、ほとんどの場合は新築と同じ金利条件で住宅ローンを借りる事ができます。
ただし、いくつか注意点がありますので確認するようにしましょう。
中古住宅は新築物件に比べ諸費用が多くかかる
仲介手数料やリフォーム費用、築年数によっては税制上の優遇が受けられない場合があるので諸費用が新築物件に比多くかかります。
また、中古住宅の場合は、火災保険や地震保険の保険料が高くなる傾向があります。
さらに建物の耐震診断がされていなければ、安心のために自費での検査が必要になる場合もあると思います。
マンションの場合は、大規模修繕や建替え、今後の修繕積立金についての確認が必須です。
一戸建ての場合は、リフォームの履歴を確認して、自分で修繕計画を立てる事が必要になります。
登記していない増築があるとローンが借りられない場合がある
増改築によって、まれに登記簿上の面積より実際の面積が広くなっている場合があります。
増築した面積が広いと、建築基準法上の建ぺい率容積率をオーバーし、住宅ローンを組むことができない場合があります。
必ず登記簿で登記された面積を確認するようにしましょう。
新築住宅の場合は、建ぺい率、容積率違反や、接道義務違反の場合、住宅ローンを組む事ができないのですが、中古住宅の場合はケースバイケースになるようです。
この点も金融機関に確認するようにしてみましょう。
その他中古住宅購入の注意点
築年数が古いと返済期間が短くなる場合があります。
例えば、築30年のマンションを購入する場合、「築60年までに完済すること」という条件設定があると、自分の年齢が若くても35年ローンは組めなくなります。
中古住宅ではこういった条件が設定されている場合がありますので必ず確認するようにしてください。
リフォーム費用は住宅ローンで借りれる?
中古住宅をリフォームして購入する場合、リフォーム費用を住宅ローンに上乗せして同じ金利で借りられる金融機関もあります。
建物の引渡し後にリフォームする場合には、支払い時期が分かれますが、分かれた支払い時期にも対応してくれる金融機関もあります。
また、別途リフォーム専用のローンがある金融機関もありますが、金利が割高な場合が多いので、申込み時点で必ず確認しておくようにしましょう。
現在、ネット銀行ではリフォームに対応していない場合が多いようですが、リノベーション業者が提携ローンを扱っている場合もあるので、いろいろな選択肢を検討するようにしてみましょう。
中古住宅は住宅ローン減税の控除額に注意
マイホーム取得の際には、消費税のかかるものとかからないものがあります。
消費税がかからないケースでは、ローン減税の額は少ないことに留意しておきましよう。
住宅購入費のすべてに消費税がかかるわけではありません。
消費財ではない土地は非課税であり、課税されるのは建物だけです(建物でも消費税がかかるものと、かからないものがあります)
消費税については物件や買い方によって負担が異なるだけではなく、住宅ローン減税やすまい給付金の適用条件にも関わるので、しっかり理解しておく必要があります。
そもそも、住宅が消費財かどうかには議論があり、欧米先進国の大半では、住宅は非課税か軽減税率の対象になっています。
日本のように他の消費財と同じような税率になっている国はまずありません。
このため不動産協会、住宅生産団体連合会などの業界団体では、早くから住宅を消費税の対象外とすることを訴えてきましたが、残念ながらその声は国には届かず、消費税の対象とされました。
消費税率が10%に引き上げられれば、住宅も10%が適用されることになります。
ただ、住宅は原則的に内税扱いで、価格の表示は税込みになっています。
たとえば、土地・建物、合計4,000万円の建売住宅で、内訳が土地2,000万円、建物2,000万円であれば、建物2,000万円の中身は本体が約1852万円で、消費税が約148万円です。
これが税率10%になると、本体約1,852万円に10%の消費税がついて約2,037万円になり、土地が2,000万円で変わらなければ、合計約4,037万円になる計算です。
税率が2%上がれば、4,000万円の2%、80万円の負担増ではなく、およそ半分ほどの増加にとどまるわけです。
消費者から見れば表示される価格の中に消費税が含まれているので、消費税を支払っているという実感はあまりないのかもしれません。
「住宅のうち土地は非課税で建物は課税対象」と前述しましたが、一部例外があります。
建物でも、誰から買うかによって消費税がかからない場合があります。
売主が個人の中古住宅なら消費税はかからない
消費税の納税義務があるのは、一定条件を満たす事業者のみです。
消費者に納税義務はありません。
消費者でも、スーパーやコンビニで商品を買うとき、レストランなどでサービスを受けるときなどには消費税を負担しますが、それは国に直接支払っているわけではありません。
消費税の納税義務のある事業者に消費税を支払い、事業者がその預かった消費税を国に納めることになっているのです。
ですから、消費者がモノを売るときには消費税を徴収することはできないわけで、住宅も例外ではありません。
通常、新築の分譲マンションや建売住宅は不動産会社、住宅メーカーなどの事業者が売主ですから、消費税の対象になります。
それに対して、中古住宅の多くは売主が消費者で、仲介会社を通してその住宅を取得する形になります。
仲介会社はあくまでも、消費者である売主と買主の間を取り持っているだけであり、売買を行なっているわけではありません。
したがって、買主は消費税納税義務のない個人の売主から買っているので、消費税の負担は発生しないのです。
3,000万円の中古マンションで、建物の価格が1,000万円なら税率8%で80万円の消費税ですが、個人からの購入であれば、その負担がないのでそれは大きなメリットです。
しかし、そのぶん消費税率引上げ時の負担を軽減するために実施された住宅ローン減税の拡充、すまい給付金の適用を受けることはできません。
消費税がかからず、消費増税後の拡充された住宅ローン減税の適用を受けられればダブルメリットであり、すまい給付金まで利用できればトリプルメリットですが、そうはいきません。
消費税負担がない場合には、住宅ローン減税は年間20万円まで、10年間で最大200万円にとどまります。
すまい給付金はゼロです。
ただし、中古住宅でもリノベーションマンションのように、不動産会社などが所有している物件を買うときには消費税がかかり、その場合の住宅ローン減税は年間20万円ではなく40万円になり、10年間で最大400万円の減税が適用されます。
もちろん、すまい給付金の対象にもなります。
これらの違いをきちんと理解しておかないと資金計画や返済計画に影響が出てくる場合があります。