住宅ローンジャーナル 横山晴美

2019年の住宅ローンはどうなる?金利だけでなく商品戦略にも注目!

投稿日:2018年12月28日 更新日:

(構成・文=横山 晴美/ファイナンシャルプランナー)

家族と家のイラスト

住宅ローンの金利状況やトレンドは絶えず動いています。

2018年の住宅ローン金に大きな変化はありませんでしたが、小幅の上下はありました。

2019年は消費税の増税もあります。消費税の増税はどんな影響を及ぼすのでしょう。

2018年を振り返りつつ、2019年の住宅ローンについて考えてみたいと思います。

2018年住宅ローンの振り返り

住宅ローンといえばここ数年、「超低金利」が続いています。

2018年もその傾向は変わりませんでした。

しかし2018年7月末には、日銀が事実上長期金利の上昇を認める発言をし、一部では金利が微上昇する場面がありました。

ここでいう「一部」とは主に10年固定金利や35年固定金利など、中長期の金利になります。

短期的な変動金利と中長期の金利で動きが異なるため、それぞれを分けて振り返ってみます。

2018年の金利推移

2018年 変動金利

【主要4行金利推移】

1 6 12
4行平均金利 0.599% 0.561% 0.536%

変動金利は年間を通して見ると微減となっています。2017年秋頃までの平均金利は0.6%超でしたが、2017年12月かに0.6%を切り、2018年に至っています。

2018年 10年固定金利

【主要4行金利推移】

1 6 12
4行平均金利 0.913 0.836% 0.886

4行のなかで0.6%~1.2%程度の幅があり一概に判断することは難しいです。

単純に1月と12月の金利を見れば微減といえますが、12月よりも6月の金利のほうが低くなっているのが気になります。

より少し詳しくいうと、2018年4月に一端平均金利が下がり、その後緩やかに戻りつつあります。

6月は金利が戻る過程の金利なのです。

今後同年1月の水準である0.9%程度にまで回復するのか、それ以下の金利水準で落ち着くのか見守りたいです。

※主要4行とある場合の4行とは「みずほ銀行」「三菱UFJ銀行」「三井住友銀行」「りそな銀行」のこと。また、4行の金利は優遇金利を採用

2018年 フラット35最頻金利

【主要4行金利推移】

1 6 12
最頻金利 1.360 1.370 1.410

(21年以上35年以下・融資額9割以下の場合の最頻金利)

こちらは若干ですが、上がっています。

フラット35の場合は、資金力のある主要4行だけでなく、体力の乏しい金融機関も含まれるので平均値が上がるのはやむを得ないかもしれません。

しかしここで重要なのは、金利水準ではなく金利推移です。金利水準が0.1%程度ではありますが、2018年全体で緩やかに上昇しています。

金利が上昇する場合、まずはフラット35を代表とした長期金利が上昇し、そのあとで変動金利が上昇していきます。

2018年はフラット35が緩やかに上昇していたため、金利上昇の前触れではないかと危惧する声がありました。

しかしこうして振り返ってみると、上昇幅はほんのわずかで、金利が上昇するとは言い切れない印象です。

ただし、フラット35の金利が上がっているのは事実ですし、10年固金利も振れ幅があります。中長期の金利を選択する場合は、住宅ローン契約を結ぶ時点の金利動向を注視しましょう。

2019年の金利はどうなる

金融機関の金利引下げ競争は一服した感があります。

今までは、利益を削ってでも金利の引下げを求める姿勢も見られましたが、今後は市場金利が上がれば住宅ローン金利もそれに伴い上がっていくでしょう。

市場金利が大きく上昇することは考えにくいですが、小幅の変動は大いにありえます。

返済額に余裕がなく、少しの上昇でも負担が重いような世帯は注意する必要があります。

消費税増税の影響は限定的か

2019年10月に消費税率が10%へと引き上げられます。価格の大きい「住宅」は、増税前の消費の前倒しと、その反動による消費の冷え込みも予測されます。

消費が落ち込めば、金融機関の住宅ローンの金利引下げ競争も再発するでしょうか?

一概にはいえませんが、消費税の増税が直接的に金利に影響することは考えにくいでしょう。

すでにかなりの低金利化が進んでおり住宅ローンにおける金融機関の利益はそう多くありません。

競合するのであれば、金利以外の付加価値を強調する方向にいくのではないかと推測します。

付加価値として考えられるのは、銀行で発行するポイント加点やATM手数料の無料化、団体信用生命保険の保障拡充などです。

実際に住宅金融支援機構の「2018年度 民間住宅ローンの貸出動向調査結果」のアンケートにて「今後住宅ローンの取り組みを積極的に行う」と答えた金融機関では、取り組みの具体的内容として商品力の強化が第一位に上がっていました。

【住宅ローンにおける今後の取り組み】

第一位 商品力の強化 59.4%

第二位 借換え案件の増強 46.1%

第三位 営業体制強化 40.6%

第四位 金利優遇拡充 37.0%

第五位 販売経路拡充や見直し 36.5%

出典住宅金融支援機構の「2018年度 民間住宅ローンの貸出動向調査結果」

預金機能を持たず融資に特化したモーゲージバングでは、金利の引下げはより期待できるかもしれません。

また同調査によると、「住宅ローンの取り組みは現状維持」とし、積極策を行わない方針の金融機関にもあります。

各金融機関の商品戦略に注目していきたいです。

2018年は変動金利が半数超え

2018年は、金利選択において変動金利が人気を博した年でもありました。

住宅金融支援機構の「2018年度 民間住宅ローン利用者の実態調査」によれば2017年は変動金利が固定金利や固定期間選択型の金利を抑えて、過半数を占めたのです。

これは借換え時に変動金利を選択する人が多いのも要因のようです。

変動金利における金利上昇リスクは、借入期間が長いほど大きくなります。

返済期間が短い借換えの人は、金利変動のリスクが抑えられますし、借換え前の金利が高水準だった場合は、多少上昇しても十分にメリットがあると考えるのでしょう。

すでに返済実績を重ねた人の借換えは、金融機関にとって「優良顧客」といえます。

先の「2018年度 民間住宅ローンの貸出動向調査結果」においても借換え案件の増強は取り組みの第二位となっています。

借換え住宅ローンは2019年も活発な動きを見せそうです。

住宅ローン、今後のトレンドは「事前災害リスク」の回避?

近年は団信の保障範囲が拡大傾向にあります。「特約」により特定の疾病にかかったり、ケガを負ったりしたときにも団信が適用されるものが続々と登場しています。

特約保険料は金利に上乗せされるタイプが主流です。

保障の度合いによって金利0.2~0.3%程度が上乗せされます。

しかし近年は保障範囲が広い団信にもかかわらず保険料が無料のものも複数登場してきています。

特約の無料化は実質的な金利引下げともいえるでしょう。

災害にも対応する団信がどんどん登場

保障内容拡大の傾向として、被災時にも適用できる団信が増加しています。

ほとんどが金利上乗せ型ですが、ダメージの深刻さを考えると金利が上乗せされてもなお、加入メリットはあるはずです。

災害は家族全体が被災するほか、マイホームそのものも損害を被るからです。

災害に関する特約では、被災時に半年から2年程度、住宅ローンの返済が免除される団信が多いです。

ただ中には、被災により「住宅ローンの残高が半分に」なる思い切ったものもあります。

ただ当然ですが、対象となる災害の範囲や特約が適用される条件は金融機関ごとに変わってきます。

災害に対応する団信は、今後多様化が進むことが予測されます。

災害への不安が大きい人にとっては朗報です。

2019年に家を買うなら注目したい、消費税のこと

2019年に家を買うなら、消費税の増税について知っておかなければなりません。

住宅購入においては、いつから増税が適用されるのでしょうか?消費税は原則として引き渡し時の税率が適用されます。

ただし住宅は契約から引き渡しまでの期間が長く、余裕をもって契約しても、工事が遅れれば増税後の引き渡しになってしまうかもしれません。

住宅の購入では引き渡し時期を正確に把握することが難しいため特例措置があります。2019年3月31日までに契約を済ませれば、引き渡しが消費税の増税以後になっても、8%の税率が適用されるのです。

契約時期が2019年3月31日を過ぎても、引き渡しが消費税の増税前(9月31日まで)であればやはり消費税は8%が適用となります。

すまい給付金と住宅ローン控除はどう変わる

消費税の増税前後に住宅購入を検討しているならば、すまい給付金と住宅ローン控除の拡充内容も把握しておきましょう。

消費税が10%に上がると次の点が変わります。

すまい給付金

  • 最大給付額が30万円から50万円に増額
  • 給付対象者の所得制限があるが、「収入額の目安775万円以下」まで引き上げられる(消費税8%時は「収入額の目安510万円以下」)

住宅ローン控除

  • 控除期間が3年延長

まだ詳細が決まっていない部分もありますので、要件や利用方法についての情報収集をしっかり行っておきたいです。

まとめ

消費税が上がることで急いでいる人もいるかもしれませんが、すまい給付金や住宅ローン控除を活用すれば、増税の影響を抑えることは可能なはずです。

慌てて購入することは避けましょう。

経済状況や政策、利用者のニーズなど様々な要因により住宅ローンは変化し続けています。

動向を注視し、その時々の住宅ローンのなかから最適なものを選びたいです。

文:横山 晴美

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