住宅ローンは完済まで、この先何十年も返済をし続けていくことになります。
契約においては銀行や不動産会社の話にも耳を傾けながら、物件の提携銀行以外にも目を向けて自分で比較しながら選ぶようにしてみましょう。
何千万円もする住宅は人生最大の買い物です。住宅と同じように多くの利息を払う住宅ローンも慎重に検討し決めるようにしたいです。
金利やサービスは金融機関ごとに違うので、比べる価値は十分にあります。
不動産会社の提携ローンの手続きは簡素化されており、複数のローンと提携していることが多いので比べるのも楽ですが、他のローンよりも必ず金利や手数料が安いとは限りません。
借りる住宅ローンよっては数百万円の違いが出る事もあります。
将来的に借り換え等の手続きを取る事も可能ではありますが、借り換えの為にはそれなりの手間と安くはない手数料も当然掛かってきます。
現在、銀行間の競争は激しく借り手にとって有利な状況なので、いくつかの銀行に相談して自分にぴったりな金融機関から借り入れするようにしましょう。
物件の提携銀行
不動産会社の物件には提携している銀行が複数あり、大手銀行からネット銀行系まで幅広いです。
提携銀行なら物件の審査は済んでいるので、審査の結果が出るのが早いというメリットがあります。
必要書類は不動産会社の担当者が銀行に届けてくれるので、自分で銀行に出向かなくて済みます。
しかしながら、提携銀行だからといって金利や諸費用がどこよりも安いとは限りません。
さらに、不動産会社にローン取扱手数料として、3万~10万円の手数料が必要となります。
提携ローンの説明会や個別面接では、複数の銀行で資金プランを立ててもらい、金利やサービスの比較、交渉をしてみると良いでしょう。
物件と提携している銀行が1社だけなら、自分で他の金融機関も探し、検討してみるようにしましょう。
-
-
提携以外の住宅ローンを自分で探してお得に借りる!
(文・構成=編集部 住宅ローンアドバイザー・山知) 住宅ローンを借りるには大きく2つのルートがあります。 住宅供給事業者と提携している金融機関の住宅ローンで借りる(提携ローン) 自分で探した金融機関の ...
続きを見る
勤務先の指定銀行
勤務先指定銀行の住宅ローンなら、人物審査に手間がかからず、金利割引や保険付きなどの特典もある場合があります。
会社によっては福利厚生で金利の一部を負担してくれる会社もあるので、福利厚生担当者に確認してみるようにしましょう。
また、給与から財形貯蓄をしている人向けの財形住宅融資には利子補給がある場合があります。
しかしデメリットとして、転職したら住宅ローンは続いてもサービスは受けられなくなったり、借り方によっては利用できない事もあるので、会社の総務部や人事部に、住宅関係の手当や福利厚生を問い合わせてみるようにしましょう。
-
-
勤務先の提携住宅ローンを確認してみよう
住宅展示場で返済プランを立ててもらうと、ほとんどの場合は不動産会社の提携ローンを使用して35年返済で算出される事が多いです。 もちろん住宅ローンは提携ローンしか利用できない訳ではなく、自分で探して自由 ...
続きを見る
ネット銀行
ネット銀行は、普通の銀行がネット上にあるだけで、実店舗を持たない、もしくは、店舗数を抑えている分、経営コストを圧縮でき一般の金融機関よりも低金利な傾向にあります。
ネット保険会社などもそうですが、実店舗運営のコストを抑制して契約料を安くするのは、企業努力の一つの形といえると思います。
経営母体が大企業であったりすることが多いです。
住宅ローンの申し込みから審査、契約まで全てネットか郵送での手続きで完結しますが、提出書類が細かく審査はかなり厳しめです。
審査が厳しい反面、融資条件さえクリアすれば、とても有利なローンになります。
楽天銀行、住信SBIネット銀行、ソニー銀行の金利はかなり割安で、地方在住で地方銀行の金利が高い場合には利用を検討してみるようにしましょう。
一般の銀行と同様に、条件をクリアすると引き下げ金利が適用される場合もあります。
ただ、多くの一般的な銀行に比べて低金利な場合が多いですが、借地権の物件に使えないなど制限がある場合や、事務手数料が割高な場合がありますので、この点は注意が必要です。
繰り上げ返済手数料は、ほとんど無料で、ネットで簡単に手続きができるので積極的に繰り上げ返済をする予定の方にはメリットが大きいです。
さらに、一般的な金融機関は平日しか窓口が開いていませんが、ネット銀行はインターネットで24時間申し込みができるので、忙しい人に向いている借り入れ先です。
契約をする際には銀行のスタッフと直接顔を合わせる事がなく、ネットや電話を利用してやりとりする事になりますので、担当者と直接話しながら契約手続きのサポートを受けたいという人にはあまり向いていないかもしれません。
ハウスメーカーの提携ローンではないケースがほとんどなので、申し込みから手続きまでを全て自分で行う必要があります。
しかしながら、各ネット銀行では、コールセンターを設けて土日や祝日も対応するなど利便性をアップさせたり、対面で相談できる店舗を出すなどして巻き返しを図っていますので、サポートが全くないというわけではありません。
金利が低い分、場合によっては本審査に時間がかかり、申し込みから融資実行まで数ヶ月かかることもありますので、この事を念頭に置き購入にジャストなタイミングで契約できるように調整を行いましょう。
具体的には、審査に落ちてから新たに別の金融機関に申し込みをしなおすのは時間のロスになるので、ネット銀行が第一候補でも同時に都市銀行や地方銀行などにも審査申し込みをしておくようにすると良いでしょう。
こんな人はネット銀行の住宅ローンも検討してみましょう
- とにかく低金利にこだわりたい
- 平日の銀行が開いている時間には忙しくて行く余裕がない
- こまめに繰り上げ返済をする予定がある人
- 自分で手続きするのが面倒ではない
- 金利動向や借り換え時期、返済額の試算などの金融リテラシーがある
ネット銀行のメリットとデメリット
ネット銀行のメリット
- 他の金融機関に比べて金利が低い
- 窓口に行く必要がないのでインターネットでのやりとりでほぼ完結する
- 実店舗を出すところも出てくるなどサポートやサービス向上傾向
ネット銀行のデメリット
- 年収基準など審査が厳しい
- 実店舗がほとんどない
- 保証料無い代わりに事務手数料などの諸費用が高め
- 申し込みから契約まで全て自分で行う必要がある
- 対面でやりとりできないため融通が利かない
一般的な民間銀行
大手銀行(都市銀行・信託銀行)、地方銀行、信用金庫、給与振込の銀行などから借りるといった選択肢です。
給与振込銀行は、銀行も給与が入ってくる事が分かっているので審査比的審査に通りやすいです。
給与振込口座を住宅ローンの引き落とし口座にすれば、預金残高を気にしないで済むので楽です。
地方の人は第二地銀や信金を検討してみるのも良いと思います。
物件の近くにある銀行の支店や、身近な信金などは親身に対応してくれます。
民間銀行はそれぞれ特徴を出しているので、ローン保証料や繰り上げ返済手数料、三大疾病保障付きなど、諸費用で比べるのも良いと思います。
例えば、共働き世帯は夫婦とも団信がついたり(三井住友銀行)、家事代行サービス(新生銀行)などの、おまけ付きローンも魅力的です。
都市銀行・信託銀行の特徴
都市銀行・信託銀行の住宅ローンは、住宅販売会社や不動産会社の提携ローンとして採用されていることも多く、安心できるイメージを持つ人が多いと思います。
都市銀行・信託銀行で住宅ローンを借りる場合の大きなメリットとしてあげられるのは、店舗数が多く、さまざまな手続きを行うのに便利な点です。
対面で相談できる住宅ローンセンターや、電話での無料相談窓口も設置されていて不明な点を確認しやすいです。
規模が大きいだけに、審査が厳しいというイメージがあるかもしれませんが、審査もネット銀行などに比べると比較的緩やかになっています。
ネット銀行では保証会社を付けていないところも多く、どうしても審査が厳しくなりますが、都市銀行・信託銀行では、保証会社が付きますので、顧客の獲得に積極的です。
審査スピードについても他の金融機関よりも早めで、事前審査であれば、申し込んだ翌日〜3営業日以内にはほとんど結果が出ます。
また、自分や勤務先がその銀行の得意先なら、交渉の結果次第で優遇された条件のローンが組める可能性もあります。
このような融通の良さも、現在のネット銀行には期待できない大きなメリットといえます。
給与の振込口座として利用しているだけで審査に通ることもあるので、マイホームの購入を考えた時点で取引実績を作るという意味で、口座を作るのも良いかもしれません。
団信は8大疾病保障などの保険が割引になるなどの特典が魅力ですが、保証料が0.2%上乗せになる場合もあるので金利で比較する場合は注意しましょう。
また、どの都市銀行も現在はネットからの申し込みの受付にも力を入れてきています。
ネット経由で申し込みすれば金利が優遇されるプランもあるので、詳しい商品説明は窓口で聞いて、実際の申し込みはネットから行えば、ネットとリアルのいいとこ取りをすることも可能です。
都市銀行・信託銀行は金利が比較的低めなことが多い
マイナス金利が導入された2016年2月以降、大手銀行各社が住宅ローンの金利を下げ始めました。
たとえば、10年固定金利の場合、2016年2月16日に三井住友銀行が1.05%から0.9%へ引き下げたのを筆頭に、2月18目にりそな銀行が、2月22日にみずほ銀行が同じく金利引き下げを行い、各行での金利競争が始まりました。
現在は、一時期より金利は微増傾向ですが住宅ローンの超低金利は続いています。
企業への貸出残高に伸び悩む銀行にとっては、コンシューマー向けの住宅ローン貸出しは重要かつ長期間にわたり安定した収益源となり、他行に顧客を取られてしまえば経営に大きな影響を与える事になります。
ただし、自営業者などには審査が厳しくなり、自己資金が20%以上ないと最優遇金利を受けられないところもあります。
自営業者なら地銀、信金、信組やフラット35などの方が融資を受けやすいという傾向があります。
都市銀行・信託銀行のメリット・デメリット
都市銀行・信託銀行のメリット
- 店舗数が多く手続き上の不便が少ない
- 住宅ローンセンターなどで相談・情報収集が可能
- 豊富な商品プランの中から選べる
- 審査結果が出るのが比較的早い
- ネット経由で申し込み可能なら、店頭申し込みよりも金利が優遇される場合がある
都市銀行・信託銀行のデメリット
- プランが多いため、どの商品が得なのか少々わかりにくい
- 自営業者の場合審査が厳しい
地方銀行・信用金庫の特徴
各都道府県の県庁所在地などに本拠を道き、地域密着型の銀行を地方銀行といいます。
一番の特徴は各地域での競争具合によって金利差が大きいことです。
変動金利の店頭金利を例にとっても、都市銀行が横並び2.475%であるのに対して、地方銀行では2.675%、なかには3.075%というところもあり、優遇幅もさまざまです。
金利優遇の条件として、預金残高などの取引内容をポイント制にして算出しているところもあり、最優遇金利での借り人れが難しいケースもあります。
競争の激しい地域では、ある銀行が特別金利の商品を出すと、別の銀行が対抗してさらに安い商品を出すなど、キャンペーン合戦や付帯サービスの競い合いも盛んです。
このようなキャンペーンでは申込期間などが限定されるため、チャンスを逃さないように、こまめな商品チェックが必要になります。
地方銀行・信用金庫はケースバイケースで柔軟に対応
都市銀行の住宅ローンが都心在住者を主な顧客にしているのに対し、地方銀行は地元に密着したサービスを期待できる借入先です。
戸建てなどを購入する場合では、住宅ローンの借入時に実際の建物等の現地確認が必要になるため、近くの金融機関の方が不便が少なくて済みます。
地方銀行の住宅ローンの申込手続きは、金融機関の窓口が基本ですが、申込者の自宅で行うこともあります。
融通の利きやすさでいえば、都市銀行に比べて地方銀行の方が融通が利きます。
審査は申込者を画一的な基準で判断するのではなく、個々の事情に耳を傾けて可能な限り融資ができるように働きかけてくれます。
たとえば転職したばかりで、都市銀行やネットバンクでは融資対象にならないような場合でも、銀行と転職先の会社問に取引関係があり、経営が安定していることを確認できれば、例外的に審査に対応してくれることもあります。
また、仮に金利1.5%で審査が通らなかった場合、1.8%ならといった提案をしてくれたり、貯蓄型の生命保険などに加入しているか否かなど、正規の判断材料とは別の要素を考慮して金利等も判断してくれることもあります。
信用金庫も地元密着という面では同じで、金利も一般的には高めですが、個人事業主や小さな会社の経営者などで、その信用金庫で定期積立を行っていたり取引があるような場合等は、審査自体は通りやすいです。
また、信用金庫でロ座を開いている自体が人が少ないため、住宅ローンの申し込みに行けば歓迎されるケースが多いです。
地方銀行・信用金庫のメリット・デメリット
地方銀行・信用金庫のメリット
- 顧客獲得競争の激しい地域では金利が安い
- 地元密着型のため、なるべく審査に通るように働きかけてくれる
地方銀行・信用金庫のメリット
- 都市銀行やネット銀行に比べると金利が高め
- 競合の少ない地域では金利が高めに設定されやすい
- ネット対応が進んでない場合が多いので、窓口に出向くことが多くなる
住宅金融支援機構
個人の住宅生活向上を目指す国の機関である、住宅金融支援機構の商品は、借入期聞最長35年、全期間固定型のフラット35です。
フラット35の住宅ローンを借りる時には、銀行が窓口となります。
大きな特徴は、保証料無料と保証人不要、ローン審査がゆるめで自営業や派遣社員でも借りる事ができ、団信保険料が金利に含まれています。
取り扱う金融機関によって金利やローン手数料が異なり、中には金利が高めな所もありますので、良く比較するようにしましょう。
-
-
フラット35の住宅ローン
フラット35は、公的ローンと民間ローンの中間的な要素を持つ全期間の長期固定金利型ローンです。 住宅金融支援機構と民間金融機関の提携ローンで、民間金融機関が貸し出したローン債権を住宅金融支援機構が買い取 ...
続きを見る
モーゲージ系金融機関
モーゲージローンとは、不動産の抵当権を担保にした貸付を意味し、モーゲージ系金融機関では住宅ローンを専門に取り扱っています。
中でも特に有名なのが、旧SBIモーゲージのARUHI(アルヒ)です。
ARUHI(アルヒ)は全期間固定型のメリットに着眼し、フラット35の実行件数で取り扱いシェアはナンバーワンとなっています。
駅前やショッピングセンターを中心として、全国に170店舗以上あるので、一度相談がてら足を運んでみると良いかもしれません。
住宅ローンを専門とし、銀行より低金利で住宅ローンを借り入れることができるケースが多いので、フラット35を検討中の人には特におすすめです。
-
-
ARUHI(アルヒ)の住宅ローン
ARUHI(旧SBIモーゲージ)は、住宅ローンを専門とした金融機関で、取り扱う住宅ローンはフラット35が主力です。 フラット35にさまざまなサービスを取り入れ、それぞれ違った商品として差別化を図り販売 ...
続きを見る
住宅ローン相談会の活用をしてみる
銀行や住宅展示場、広告などで、住宅ローン無料相談会といった案内を目にしたことのある人も多いと思います。
相談会といってもセミナーのような形式で行われるのではなく、銀行員やファイナンシャルブランナーが個別に疑問等に答えてくれるものです。
基本的には予約が必要で、銀行の窓口に個別相談に行くのとあまり変わりありませんが、日中は仕事などで金融機関に出向くことができない人のために、平日は夜7〜8時くらいまで、また土日、祝日にも対応しているのが一般的です。
場所は金融機関の各店舗、またネット銀行などではローンプラザなどの名称で専門の店舗を設けているところもあります。
相談できる内容は審査手順や必要書類など手続き全般、また各商品の特徴や借り方のボイントなどさまざまですが、一番のメリットは相談者の収入などから、どれくらいの融資が受けられるか、毎月の返済額がいくらになるかなどを大雑把にシミュレーションしてもらえることです。
その際に、具体的な物件が決まっていたほうが詳しく話を聞けます。
もし決まっていない場合は、自分の希望条件に近い物件をダミーとして提示するとよいでしょう。
後からしつこく営業の電話がかかってくるようなことは通常はありませんので、気軽に相談してみてください。
ネットには掲載されていない情報などが入手できるかもしれません。
住宅ローン相談会で気をつける点
注意が必要なのが、無料相談会は相談は無料とはいえ、金融機関は顧客獲得が目的となります。
その銀行の相談会でシミュレーションできるのは、もちろんその銀行の取扱商品のみです。
また、主催が販売会社であれば、物件の販売が目的となります。
そのため、住宅ローンを希望額で組めるかどうかに重点を置くので、返済リスクについてはあまり触れられないことが多いです。
この点を念頭に置くようにして活用してみてください。
主催 | 開催日時 | 場所 | 特徴 |
---|---|---|---|
金融機関 | 平日日中または夜7、8時頃まで 土日、祝日に開催しているところも | 各店舗(支店等)や住宅ローンプラザなどの専門店舗 | ・特に都心のオフィス街の支店が平日以外にも積極的に開催 ・各金融機関の住宅ローンが利用の前提のため、他と比較したい場合は、各相談会に参加する必要がある |
不動産仲介会社、販売会社など | 住宅展示場が開いている時間帯(土日、祝日に限定しているところも) | 住宅展示場のセミナーハウスなど | ・FPを呼んで個別相談に応じることが多い ・通常は自社の提携ローンの利用が前提 ・物件販売が目的のため、デメリットには触れない |
住宅ローンの専門家(FPなど) | 土日中心 | ファイナンシャルプランナーの事務所など | ・独立系のFPであれば、より中立的な意見を聞ける ・保険見直しや貯蓄のアドバイスなども受けられる一方、住宅口一ンそのものについては詳しくないFPもいる ・住宅口一ンアドバイザーの資格を有していればべタ一 |