団体信用生命保険(団信)と同様に、火災保険への加入も住宅ローン契約の条件になっています。
万一、火災の被害に遭った場合でも、住宅ローンの支払い義務が免除されるわけではないので、住居が無くなった上に、住宅ローンだけが残るという状況になる場合があります。
住宅の時価相当額の保険に加入していれば、保険金により再築の目処が確保できます。
保険料は、色々な要素によって変わりますが、立地的に住宅密集地などでは高くなり、建物も鉄筋コンクリート造のような強固な建物ほど安くなり、木造住宅などは高くなります。
木造でも最近は耐火性能が高く、大きな差はありませんが、世間一般的な評価としてはこのような扱いになっています。
保険会社が負うリスクが高ければ、その分保険料も高くなるということです。
また、保険でどこまでカバーするのかによっても差があります。建物本体だけか、家の中の家財も対象にするか、また、盗難被害などもカバーできる保険もあります。
こちらも補償範囲が大きくなれば、当然のことながら保険料は高くなります。
長期スパンで契約した方が安い
かつては住宅ローンの最長返済期間+1年の、最長36年までの長期契約が可能でしたが、2015年10月からは最長10年契約が限度となっています。
保険には、一括支払い時の契約期間が長いほど1年当たりの保険料が安くなる制度があり、この保険期間による保険料の違いを定める数字を、長期係数といいます。
火災保険の長期係数は、1年単位の保険料を”1”とした場合、10年契約の長期係数(保険料)は、8.20になります。
火災保険の長期係数 | |
---|---|
保険期間 | 長期係数 |
1年 | 1.00 |
2年 | 1.85 |
3年 | 2.70 |
4年 | 3.50 |
5年 | 4.30 |
6年 | 5.10 |
7年 | 5.90 |
8年 | 6.70 |
9年 | 7.45 |
10年 | 8.20 |
たとえば、年間10万円の保険料なら、10年契約では、82万円ということになります。
1年当たりの保険料にすれば、82,000円になりますので、1年契約に比べて10年契約の方が18%も得をすることになります。
(長期係数は保険会社によって異なる場合がありますので必ず確認をするようにしてください)
また、注意が必要なのが、火災保険だけでは地震や津波、噴火などによる被害は補償されません。
地震に対する補償が必要であれば、別途、地震保険に加入する必要がありますが、地震保険は火災保険と違い加入の義務はありません。
利用者の判断で火災保険の特約として契約できる仕組みになっていますが、日本のように地震の多い国であれば地震保険は是非加入しておきたいです。
立地や状況に応じて補償内容と保険期間を選択
火災保険の補償内容には、火災の他に、風災・水災など色々な項目があるのですが、特に水災などは住宅の立地によっては被害が考えられにくい場合もあります。
それぞれの保障内容と、地域のハザードマップ等で発生するリスクを調べ、不要な補償内容は排除すると保険料をかなり抑えられる可能性があります。
■火災保険の補償内容と年間保証料の例
建物の保険金2,000万円(地震1,000万円) 準耐火構造以外
5年契約の1年間の保険料
補償内容 | 金額 | 構成比 |
---|---|---|
基本補償 | 8,800円 | 16% |
地震保険 | 28,200円 | 50% |
水災(浸水、残存物片付け) | 9,600円 | 17% |
風災、雹(ひょう)災、雪災 | 4,600円 | 8% |
水濡、破損、物体の落下、衝突物 | 600円 | 1% |
諸費用(失火見舞、地震火災) | 4,800円 | 8% |
合計 | 56,600円 | 100% |
火災保険の見積もりサイトでコスパの高い保険を選ぶのも手です。
耐震性の高い住宅は保険料が割安に
地震保険も地域や建物の構造によって保険料が異なります。
この地震保険は大地震時の保険金負担額が膨大になるため、保険会社と国が共同で運営していますが、特に耐震性の高い住宅なら保険料は格段に安くなります。
住宅性能評価制度により最も耐震性が高いと評価された、耐震等級3か、免震住宅であれば保険料が50%割引になります。
耐震等級2でも30%割引となります。
この耐震性能の高い住宅への割引率の高さには、国の意向が大きく反映されているように思います。
また、火災保険と同様に契約年数によっても保険料が変わります。
地震保険は最長5年契約が限度となっておりますが、長期係数は建物の所在地や建物の建材(鉄筋コンクリート、木材etc)等により異なります。
項目 | 割引係数 |
---|---|
耐震等級3 免震建築物 | 50%割引 |
耐震等級2 | 30%割引 |
耐震等級1 | 10%割引 |