住宅ローンジャーナル

住宅ローンずっと変動金利を選択する場合のリスクは?

住宅ローンを組むなら、金利水準が低い変動金利を選択したいと考える人は少なくないはずです。

しかしその一方で、金利が上がった場合に返済額が上がることを不安に感じることとでしょう。

金利が上がり続けた場合、返済額が上がるのはもちろんですが、どのタイミングで上がっているのかは以外に知らない人が多いかもしれません。

変動金利の仕組みとリスクについて紹介します。

変動金利の基本的な仕組み

最初に変動金利の仕組みを、固定金利と比較しながら見ていきます。

変動金利とは

変動金利とは、市場の動きに応じて適用金利が変動する住宅ローンです。

変動金利は金利上昇によってローン返済額が増えるリスクはありますが、元々も金利水準が低いため人気があります。

特に日本では長らく低金利が続いていることから変動金利の人気が高いです。

住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査(2021年 4月調査)」では住宅ローン利用者のうち「68.1%」が変動金利を選択しています。

固定金利は固定金利期間中の金利が変動しません。

仮に金利水準が大きく上昇したとしても、毎月のローン返済額は変わりません。

変動金利と比較すると金利水準はやや高くなりますが、返済額が変わらない安心感があります。

割合としてはそう多くはないですが、安定感を求める層からは大きな支持を得ています。

固定金利期間選択型との違い

固定金利期間選択型は、「当初2年間は金利○%」のように、一定期間に固定金利が適用される住宅ローンです。

全期間固定金利よりは金利水準が低いですが、変動金利ほど金利水準は低くありません。

なお、「当初〇年」年数(の固定金利が適用される期間)が短いほど金利水準が低い傾向にあります。

金利が「固定」されるのは所定の年数が終了すると、その時点の金利で改めて固定金利期間を選択、もしくは変動金利を選択します。

ただし、所定の年数が終了後に変動金利しか選べない住宅ローンもあります。

固定金利期間選択型住宅ローンが変動金利なのか固定金利なのかよく分からずにいるかもしれませんが、所定の年数が終了後に変動金利しか選べないタイプについては変動金利の一種といえるでしょう。

変動金利における5年ルールと125%ルール

変動金利は人気の一方で、返済額が増えるリスクがあります。

しかしリスクを回避するための一定のルールもあります。変動金利における「5年ルール」と「125%ルール」を紹介します。

変動金利の5年ルール

一般的な変動金利は半年ごとに金利が見直されます。

毎年「4月1日と10月1日」、「5月1日と11月の1日」のように、金融機関によって見直し日が決まっています。

半年ごとに金利は見直されますが、すぐに返済額に反映されるわけではありません。

金利が見直されても、それが返済額に反映されるのは「5年経過後」から、というルールがあるからです。

変動金利の125%ルール

また、5年後に返済額が増える場合も、増額割合を従前の返済額の「125%まで」とするルールもあります。

このルールに則れば、従前の返済額が10万円だとしたら、12.5万円が返済額の上限です。

5年ルールがあるため、今後金利が上昇に転じてもすぐに毎月の返済額が増えるわけではありません。

最長で5年の猶予がありますので、その間位に返済額が上がっても問題ないよう、家計を整えることが可能です。

また125%ルールがあれば「5年後に返済額が1.5倍や2倍になるかも…」などと不安に感じることはありません。

「金利が上がっているので、125%の返済増に耐えられるように家計を見直しておこう」のように備えることができます。

125%ルールにおける「未払利息」のリスク

125%ルールは返済の安定性を高めるルールですが、一方で「未払利息」の問題があります。

リスクと、リスクの回避方法を紹介します。

未払利息とは

本来、金利が上昇すればそれに応じて返済額(利息分)も増えていきます。

しかし5年ルールと125%ルールによって制限が加えられると、金利が大きく上昇した再、増えた利息分を返済しきれなくなる可能性があります。

つまり、支払うべき利息額が毎月返済額を超えてしまうことです。毎月返済額を超えてしまった利息部分が「未払利息」です。

未払い利息が生じると、次のような状態に陥ります。

  • 125%ルールによって毎月の返済額は8万円に抑えられているが、実は利息額だけで9万円となっている
  • 返済していても、支払っていない利息(未払利息)が蓄積されていく
  • 元金は返済されないので減らない

蓄積された未払利息は、返済終了までには必ず支払わなければなりません。

返済終了時に一括で支払いを求められるケースもあります。

未払利息のリスクを回避するには

昨今の金利情勢からいうと、未払利息が発生する可能性は低いです。

しかしリスクを承知しておくことは重要ですので、リスクを詳しく見ていきます。

最初に、未払利息のリスクは大きく2つです。

  1. 後に「未払利息」の返済が必要になること
  2. 元本が減らないこと

このリスクを低減させるためには、平素から返済における利息の占める割合を知っておくことが大切です。

金融機関で発行する「返済予定表」では返済額とともに返済額の内訳として「元金」「利息額」についても記載されています。

欲しいときにこちらから発行依頼することもできますので、元金が順調に減っているか定期的に確認します。

元金の減りが遅いと感じたら、一部繰上返済によって元金を減らしていくことを検討しましょう。

それによって未払利息の発生率を低くすることができます。

それでもなお、未払利息が発生してしまった場合は、蓄積される前に返済できるのがベストです。

金額が大きくなると、家計に大きな影響を及ぼしかねかねないからです。返済方法は金融機関ごとに異なりますので、問い合わせてみます。

原則として5年ルールと125%ルールは変動金利の不安を軽減させる上で有効なルールです。

ただ全能ではないため、リスクも知っておくことが重要です。

なお、この未払利息の弊害を懸念して5年ルールと125%ルールを採用していない金融機関も一部あります。

変動金利における金利上昇時の対応

金利上昇時の対応をまとめます。

余裕資金による繰上返済

金利上場時には繰上返済を行うと金利が上昇の影響をなくす、もしくは抑えることができます。

全部繰上返済

すべての返済を行うので、その後の金利上昇リスクを負いません。

一部繰上返済(返済期間短縮型)

毎月の返済額は変わりませんが返済期間を短縮化するので利息負担を軽減します。

一部繰上返済(返済額軽減型)

利息軽減効果は返済期間短縮型よりも小さいですが、毎月の返済額を軽減します。

借り換え

より低い金利の変動金利を探したり、これ以上の金利上昇を防止するために固定金利に借り換えたりする選択肢もあります。

ただ、固定金利は変動金利よりも金利水準が高いですので、返済額はやや高くなるかもしれません。

また、借り換えは審査があるためできない可能性があります。

まとめ 金利上昇時の対策を知って、金利上昇時のリスクを減らそう

変動金利には金利上昇のリスクがあります。

仮に金利が上がっていったとしても、5年ルールや125%ルールがあれば、すぐに返済が苦しくなることは考えにくいです。

2つのルールを上手く使い、繰り上げ返済や家計を整えていけば、金利上昇も乗り越えていけるはずです。

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