基礎知識

住宅ローンにおけるペアローンの仕組みとメリット・デメリットを解説

ペアローンは夫婦などの2人ペアそれぞれが債務者となり、住宅ローンを返済していく仕組みです。

団体信用生命保険にもそれぞれ加入することになり、住宅ローン控除もそれぞれ受ける事が可能です。

親子リレーと同様に、夫婦が協力して住宅ローンをより有利に活用することも可能です。

特に最近は共働き夫婦が増えているので、それを意識した夫婦向けの住宅ローン商品も登場しています。

自分たちの現状、将来設計などに応じて情報を収集し、より有利な資金計画を考えるようにしましょう。

ペアローンの活用例

夫婦イメージ

たとえば「共働きで4,000万円まで借りられる」として、いくつかのケースを考えてみましょう。

まず、夫一人の名義で35年返済のローンを組むのであれば、やはり全期間固定金利型で返済するのが安心です。

夫婦共働きだと収入が多くなる半面、どちらかが病気やケガ、会社の倒産やリストラに遇う確率も二人分あります。

リスクが2倍になるので、より安全な資金計画を立てておくべきです。

この場合の毎月返済額は11万1,059円です。しかし、これでは夫婦共働きのメリツトをまったく活かせていません。

そこで夫婦ペアローンにして、それぞれ金利タイプを変えてみます。

かつては夫婦別々の金利タイプを利用するには、それぞれ個別の契約が必要で、手間や手数料などの諸費用も余分にかかったのですが、最近ではー本の契約書で対応できるものもあるようです。

契約の際に諸費用が2倍掛かる場合もありますので、この点は必ず確認するようにしてください。

そこで、4,000万円の借入額のうち夫婦2,000万円ずつに分けて、夫は従来どおり全期間固定金利型で返済します。

それに対して、妻の2,000万円分は、より金利の低い変動金利型にします。

変動金利型はそれなりにリスクがありますが、全額ではなく半分ですからリスクも半分ですみます。

仮に金利上昇によって返済額が10%増える事態になっても、半分にしておけば、全体としては5%程度の増加に抑えることができます。

それでいて、当初の返済額は全期間固定金利型だけのときよりも少なくできます。

この場合には、11万1,059円から10万8,558円に、月々2,501円の軽減になります。

夫婦のローンを使い分ける

夫婦共働きでも、将来にはさまざまな変化が予想されます。

比較的若い夫婦なら出産や子育てがあり、すでに子どもがいれば高校や大学などの教育費が重くなる時期があります。

さらにその先、老後の備えが必要にもなります。

たとえば、共働きできるうちに、できるだけ早く返済額を減らしたいなら、妻の借入額を1,000万円にして返済期間を短縮してみましょう。

夫は3,000万円を35年の全期間固定金利型で組み、妻の借入額は1,000万円、20年返済の変動金利型とします。

妻の返済期間が短くなるぶん毎月返済額は12万円台に増えますが、21年目からは妻の返済額がなくなって8万円台に減少します。

さらに、妻の1,000万円を10年返済の変動金利型にしてみましょう。

この場合の毎月返済額は17万円近くに増えますが、収入源が2つなら何とか返済できるでしょう。

そして、11年目からは8万円台の返済ですから、この時点で子どもが高校や大学に進学、教育資金が膨らんでも、ある程度ゆとりを持って対応できるようになるはずです。

マイホームの取得を考え始めたときには、将来設計をしっかり組み立て、ライフステージ、ライフスタイルの変化を見通して資金計画に折り込んでいくことが大切です。

夫婦で協力すれば返済面以外にもメリットが夫婦共働きで住宅ローンを組むメリットについて整理しておきましょう。

夫婦でローンを組めば借入可能額が増えるのは大きな魅力です。とくに最近は住宅価格が高くなっているので、この点は従来以上にメリットが大きくなっています。

もし将来、夫婦関係がこじれて離婚などということになった場合には、共有名義で登記しておけば、持分割合が明確になり離婚協議を進めやすいといった効果もありそうです。

税金面では、ローン減税を二人で申告できるので、一人より減税額が増える可能性があります。

すまい給付金についても同様です。

さらに、将来売却することになったときに3,000万円特別控除を二人分利用できます。

住宅価格が上がって売却時に利益が出ても、6,000万円までは非課税のためです。

夫婦で住宅ローンの団体信用生命保険に加入できるのもメリットです。

一般の生命保険に比べて保険料は安く、フラット35の機構団信デュエットのように、どちらかが亡くなれば残高がゼロになるローンもあります。こちらも契約時に必ず確認をするようにしましょう。

ペアローンのメリット

  • 1人の収入でローンを組むより2人のほうが借入可能額が増加
  • 夫婦それぞれの役割・責任が明確になる
  • 夫婦で金利タイプを変えることでリスクを小さくしたり、返済額を少なくしたりしやすい
  • 共有持分割合が明確になっていれば、万一の離婚のときにも話し合いを進めやすい
  • 夫婦共有名義ならローン減税や、すまい給付金も2人分になる
  • 団体信用生命保険も夫婦で加入できる
  • 共有名義なら将来売却するとき3,000万円特別控除を2人分利用できる

ペアローンのデメリット

  • それぞれが審査を通る必要がある
  • 費用が2倍かかる場合がある
  • 団信の適用も夫婦それぞれなので、どちらかに万一の事があっても片方の返済は残る場合がある

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