住宅ローンジャーナル 基礎知識

住宅ローンにおける担保提供者とは?連帯保証人との違いも解説

(構成・文=横山 晴美/ファイナンシャルプランナー)

住宅ローンを組むとき、「配偶者が担保提供者になることがある」と聞いたことがある人もいると思います。

日常ではあまり聞くことのない「担保提供者」とはどのような内容なのでしょう。

どんなケースの場合に必要となるのか、また、そのメリット・デメリットについて解説します。

担保提供者とはどんな人?

担保提供者の担保とは物のことです。お金や人としての信用ではなく「物(担保)」を提供する者が「担保提供者」となります。

住宅ローンの担保提供者ならば、担保物件には抵当権を設定します。住宅ローン契約者が購入するマイホームに抵当権を設定するのは特別なことではありませんが、担保提供者の場合は他人の借金のために抵当権を設定することになりますね。

金融機関にしてみれば、担保が多いほうが安心して融資ができます。融資を助けるという意味では、連帯保証人と似た役割です。

そのため担保提供者を物上保証人と呼ぶこともあります。

担保提供者のほかにどんな関係者がいるのか

担保提供者である物上保証人は、返済の義務を負うわけではありません。

返済義務を負うのはあくまで住宅ローンの契約者です。

しかし住宅ローン契約者が返済できなくなると、抵当権が実行されて所有権を失ってしまいます。

ただし、連帯保証人と違い、返済の義務は負いません。提供した担保が責任の上限ですので、所有権喪失以上の損害は受けないことになります。

住宅ローンの関係者は、ほかにも多いので下に主な役割や特徴をまとめました。

【住宅ローン契約における関係者】

  • 債権者

住宅ローン融資を行う金融機関。住宅ローン返済の債権者であり、抵当権を設定する抵当権者でもある

  • 住宅ローン契約者

住宅ローンを借りた人であり、債務者。返済の義務を負う

  • 担保提供者(物上保証人)

自分の不動産を担保提供(=抵当権を設定) 住宅ローン契約者が返済義務を怠った場合は抵当権が実行され、所有権を失う

  • 連帯保証人

住宅ローン契約者と同じように返済の義務を負う

どんな人が担保提供者になるの?夫婦編

住宅ローン契約における担保提供を理解するには「共有」について知っておくといいでしょう。

不動産の共有とは、複数人で不動産を所有することで、その旨の登記もします。

不動産が共有となるのは特殊なケースだと思われがちですが、マイホーム購入時に不動産を共有とする人は少なくありません。

というのも家を購入する際に拠出した資金に応じて所有権を登記するのが基本だからです。

夫婦のうち住宅ローン契約者でないほうが担保提供者となる例

「頭金を妻が負担」「住宅ローンは夫が単独で組む」ケースで考えてみましょう。

この場合、住宅ローン契約者は夫のみとなります。しかし妻も頭金を負担しているので拠出割合に応じた所有権を得ます。

その場合、金融機関の抵当権が及ぶのは住宅ローン契約者である夫の持ち分のみ。そのままでは、妻の持ち分に金融機関の抵当権が及びません。

金融機関としては、返済が滞ったときには抵当権を実行して売却益を返済に充てたいです。

しかし抵当権が物件の一部では、売却するのは難しいでしょう。見ず知らずの他人と共有でマイホームを所有したいと思う人はいないと推測できるからです。

そこで妻を担保提供者にすることを求めることになります。

妻は債務者ではありませんが、担保提供により、夫が返済不能に陥ったときには妻の所有分も抵当権が実行されることになります。

なお、夫婦2人でローンを組む「ペアローン」の場合は、「互いに連帯保証人となる」のが一般的です。そのため担保提供の必要性は生じません。

どんな人が担保提供者になるの?親子編

親名義の土地に家を建てる場合なども、金融機関から担保提供を求められる可能性が高いです。

代表例として、親の土地に子供世帯が家を建てるケースでは、親が自分名義の土地を担保提供するのが一般的です。

家を建てるのは子供世帯ですから、住宅ローン契約者は原則として子供となります。

しかし家だけに抵当権を設定しても、もしものときに売却できる可能性は低く、担保としての意義はほとんどないからです。

夫婦の場合、当事者は2人だけなので互いに納得すれば済みますが、親子間の場合は親夫婦と子供夫婦に加え、兄弟姉妹も関係者になる可能性があります。

事前にその責任の重さや範囲を伝えておくことも重要になりますね。

担保提供者は夫婦・親子間だけとは限らない

不動産を共有する事例として多いのが「夫婦・親子間の共有」であるため担保提供者の多くは配偶者や親となります。

しかし兄弟で不動産を共有することもあるでしょう。

また夫婦間でも購入が結婚前であれば、法律上は他人となります。

夫婦・親子に限らず、兄弟姉妹や結婚前の男女でも金融機関が認めれば担保提供者となることが可能です。

金融機関によって差があるので、早い段階で確認しておきたいです。

担保提供者と連帯保証人の違いは

担保提供者は同時に連帯保証人になることを求められることがあります。

担保提供者が連帯保証人になると、責任の度合いがより重くなります。

両者の違いを詳しく見てみましょう。

無限責任の連帯保証人

連帯保証人は既述のように、住宅ローン契約者である「債務者」と同じく返済の義務を負います。

「連帯して債務を負担する」ことになるため、連帯保証人といいます。

債務に対する責任の度合いは住宅ローン契約者である債務者と同じであり、住宅ローンの残高が5,000万円であれば、全額責任を負うことになります。

法律上連帯債務者のリスクや責任は、住宅ローンの契約者に資力があるから小さくなるわけではありません。

もしも住宅ローンの返済が滞ったとき、債権者である金融機関は「住宅ローン契約者」「連帯保証人」のどちらに返済を迫っても構わないからです。

「債務者にお金があるにもかかわらず、「債務者が支払わないので連帯保証人が代わりに支払ってください」と請求されることも考えられるのです。

有限責任の担保提供者(物上保証人)

担保提供者である物上保証人は、提供した不動産価値の範囲内で責任を負うことになります。

担保提供した不動産の所有権は失いますが、それ以上の返済を迫られることはありません。

もしも返済額が5,000万円で、担保価値が1,000万円だったとしても、差額の4,000万円について責任を負うことはありません。

両者を比較してみると、責任の重さが変わってきますね。とはいえ、「担保提供者は連帯保証人になる」といった金融機関もあります。

「頭金は出すけれど、住宅ローン契約者にならなければ物上保証人で済む」とは限りませんので注意したいです。

担保提供によるメリットとリスク

担保提供者は連帯保証人ほどではないにせよ、責任を負います。

一方、これといったメリットはないかもしれませんが、住宅ローンを組むために必要なことではあります。

「担保提供したから、住宅ローンを組むことができた」と考えれば担保提供そのものがメリットなのかもしれません。

返済が滞ったときに所有権を失ってしまうのはデメリットですが、一緒に家に住む夫婦間であれば同じ責任を負うのは仕方ないことともいえます。

少なくとも夫婦間であれば、互いに納得の上マイホーム購入を決断することでしょう。

ただし担保提供者が親である場合は、すこし勝手が違います。

親世代と子世代ではそれぞれ立場が違うので、夫婦間のようにスムーズな意思疎通は難しいかもしれません。

特に一緒に住むわけではないのに土地の担保提供を受ける場合、物上保証人の内容が正確に伝わらない恐れがあります。

リスクをよく説明し、納得の上担保提供者になってもらう必要があります。

担保提供の意義とリスクを知って利用しよう

担保提供をした場合も、適切に住宅ローンを返済していれば問題はありません。

とはいえ、慎重に住宅ローンを組んだとしても、想定外の事態により返済が苦しくなる可能性はあります。

物上保証人として住宅ローンの契約者ではないにもかかわらず所有権を失うリスクがあります。リスクも十分に知ったうえで担保提供を行いたいです。

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