勤続年数は長ければ長いほど審査で有利になりますが、勤続年数が半年〜1年と短くても融資をする金融機関は増えてきました。
(少し前までは、住宅ローンの申込要件の一つに勤続年数3年以上という項目がありました)
転職歴がある人は、金融機関が定めた書式による履歴書の提示が必要であったり、特に転職して間もない場合には、雇用契約書、給与明細書、年収見込証明書等などの提示を求められる事があります。
審査ではさまざまな要件がチェックされますが、勤続年数が短くても査定を通すには、転職理由、業務内容、年収が重要なポイントになります。
転職理由については「ステップアップのため」といった前向きな理由が好ましく、「前職が辛くて嫌だったから」のような後ろ向きな理由での転職は、また辞めてしまうのではないかと金融機関は判断するため、マイナス評価される傾向にあります。
勤続年数に関する条件比較(大手金融機関)
金融機関名 | 勤続年数に関する条件 |
---|---|
![]() | 同一勤務先に満1年以上勤務されている方 |
![]() | 勤続年数による申し込み条件は無し |
![]() | 勤続年数が 1 年以上の方 |
![]() | 同一企業に満1年以上お勤めされている方 |
![]() | 同一勤務先に1年以上勤務されている方 |
![]() | 勤続年数が1年以上の方 |
![]() | 連続した就業2年以上の方 |
![]() | 勤続6ヶ月以上 |
![]() | 勤続年数による申し込み条件は無し (ただし転職後3年未満の場合は、じぶん銀行指定の職歴書の提出が必要) |
![]() | 勤続3ヶ月以上勤 |
![]() | 6ヶ月以上勤務していること |
![]() | 勤続年数による申し込み条件は無し |
![]() | 勤続1ヶ月以上 |
2018年11月現在、当該金融機関ホームページおよび窓口にて調査。 |
勤続年数が短い場合には実力をアピール
これから長期間にわたってローン返済をしていく中で、安定した収入が途絶えることなく得られるかどうかが審査を通るポイントになります。
少しでも前向きな理由を見つけて申告するようにしましょう。
仕事内容については、これまでしてきた仕事の中身と、転職先での仕事が一貫して同じであることが理想です。
転職を複数回経験していたとしても、同じ仕事内容で、あくまでステップアッブのための転職なら、現在の勤務先での勤続年数はそれほど重視されない場合もあります。
専門性が高ければ、その職業に就いてからの通算の年数を勤続年数とみなす金融機関もあります。
弁護士、公認会計士、医師、税理士、司法書士といった職業だと、国家資格を取得してから現在までの年数を勤続年数とする金融機関は少なくありません。
転職前後の仕事が同じでなくても、内容に共通する点があれば、履歴書ではなるべく共通点や関連性をアビールするようにしましょう。
また、年収ですが、金融機関の書式によっては記入しないケースもあります。
記入を求められたら事実を書くしかありませんが、理想は転職するたびに給与が増えていることです。
給与明細のコピー等を用意して、収入がアップしていることを証明するようにしましょう。
転職理由にステップアップのためとあるにもかかわらず、転職するたびに給与が減っているようでは説得力がありませんので、年収が右肩上がりに増えていることで、転職によってキャリアアッブを重ねていることが証明されます。
一方、転職後の年収が下がってしまった人は、安定性や持続性は転職後のほうが勝っている点などを強調するようにしましよう。
たとえば、給与体系が毎年変動する年俸制から、勤続年数とともに右肩上がりになっていく月給制に変わり、退職金も支給される見込みであるなどとアビールするのも一つの手です。
ただし、勤続期間が短い場合には保証料が高くなったり、金利交渉がしにくくなるので、その点は覚悟するようにしましょう。
審査後の転職に注意しよう
審査に通った後の転職にも気をつけるようにしましょう。
新築マンションなどは契約から引き渡しまで1〜2年も間があく事がたまにありますが、入居間近になって転職をした場合、勤務先が変われば前提条件が大きく異なりますので、再審査が必要になります。
住宅ローンの審査は、あくまでも転職する前の会社に勤務していることが前提で承認されたものです。
転職後の会社に問題がなく本人の年収も上がっていれば、再審査も承認になることがありますが、入居日が迫っているなど時間的な問題で、再審査が受けられないケースもあります。
不動産の売買契約では引き渡し期日が決められており、予定していた日に引き渡しができないと契約違反となり、最悪の場合は違約金や遅延金を求められることさえもあります。
売買契約にはローン特約が付いているから、ローンが借りられないのであれば契約は無償解除できるはず、と思われるかもしれませんが、このように本人が勝手にした転職は自己都合とみなされます。
自己都合でローンの承認が降場合は、ローン特約の対象外です。
転職したことを黙っていれば分からないと思うかもしれませんが、基本的に金融機関に申請している届出内容に変更があった場合には、所定の手続きや届出が必要と契約約款に記載があるはずです。
金融機関によっては融資実行の直前に勤務先に電話をして、本人が勤めているかどうか在籍確認をする場合もあります。
審査承認後に転職をした場合は、速やかに金融機関に連絡をするようにしましょう。
また、転職を考えている人は、物件の引き渡しが終わってから転職活動をするのが無難です。
もし転職が待てないのであれば、転職して数ヶ月〜1年経過後に、住宅ローン審査を受けてから住宅を購入したほうが賢明です。
売買契約後に転職し、再審査で融資が受けられない、または減額承認、という最悪の事態だけは避けるようにしてください。
勤続年数が足りない場合は、フラット35の利用を検討してみよう
転職したばかりで住宅ローンもすぐに借りたいという人は、転職後1ヶ月分の給与が出た時点で申込みが可能な、長期固定金利型のフラット35の利用を検討してみましょう。
フラット35は原則として、前年の年収で返済比率の計算を行い融資可能額を決定します。
フラット35の借入限度額
前年の年収が400万未満:返済比率30%まで
前年の年収が400万以上:返済比率35%まで
転職をした場合に前年の年収で返済比率を求めてしまうと、前職の給与所得が含まれている場合には問題が生じます。
そのためフラット35では、転職をしている場合には前年の年収ではなく、現職の給与体系で返済比率を求めるルールになっています。
転職先で1ヶ月分の給料が出た段階で、1ヶ月分の給与 ×12 を年収とみなして返済比率を求めます。
(例)転職後3ヶ月経過しているケース
転職先で3ヶ月勤務し、3ヶ月分の給与合計額が、120万円とします。
120万円 ÷ 3(ヶ月)= 40万円
40万円 × 12(ヶ月分)=480万円
この場合、転職先での年収は480万円とみなす事になります。
(ボーナスがある場合にはここにボーナス分を加算できる場合があります)
通常、金融機関側の年収確認資料は源泉徴収票となりますが、源泉徴収票は年末調整を行い発行されるため、現職の収入証明は、勤務先に「転職後の収入を証明する書類」を作成してもらう事になります。
履歴書の書き方に注意するなど努力をしてみても、ほかの金融機関で融資が通らなかった場合にはフラット35の審査を検討してみるようにしてください。
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