基礎知識 審査 横山晴美

住宅ローン審査 一般的な要件を確認しよう

住宅ローンを借りるには、審査があります。

審査を通るための要件は金融機関ごとに異なりますので、審査内容を事前に知ることはできません。

しかし、ある程度は公表されています。

住宅ローンの審査をスムーズに進めるために、基本的な審査要件を押さえておきましょう。

住宅ローンに要件があるのはなぜ

住宅ローンは、銀行や信用銀行など、いわゆる金融機関からの借金です。

借金に利子を上乗せして返済することで、金融機関は利益を得ます。ただし、返済不能に陥る「貸し倒れリスク」も潜んでいます。

貸し倒れリスクを回避するために、借入前に審査を行うのです。

住宅ローン審査の「要件」は安全に返済してくれる人を見極めるための基準となります。

住宅を担保(抵当権の設定)に入れるのも、貸し倒れリスクに備えるためのものです。

抵当権者(抵当権の権利者※)は万が一貸し倒れリスクが発生した場合は、任意に住宅を売却(競売)し、売却代金を受け取ることができます。

抵当権は非常に強い権利ですので、「もしもの場合は売却代金が手に入るのだから、金融機関からの借り入れは容易なのでは」と考える人も多いかもしれません。

しかし、抵当権は貸し倒れリスクにおける「最後の砦」です。

競売は、手続き可能が煩雑ですし、競売価格によっては貸し出した資金が回収できないこともあります。

金融機関からしてみれば、抵当権の実行などに至らず、着実に完済してくれるのが一番なのです。

そのため申込時には、毎月の返済が確実かどうか、「要件」に沿って審査を行います。

抵当権の権利者 金融機関が抵当権者になる場合と、保証会社が抵当権者になる場合があります。ここでは、金融機関を抵当権者としています。

年齢や年収だけではない!住宅ローンの要件とは

審査の詳細は金融機関ごととなりますので、ここでは一般的な借入要件について解説します。

年齢や年収、借入期間など様々な要件がありますが、大きく3つに分類されます。

住宅ローン要件1 人的要件

  • 年齢

借入時できるのは「満70歳未満」が一般的な年齢です。

ただし、70歳未満であっても、最終返済時の年齢が「満80歳未満」でなければなりません。

また、下限年齢として「満20歳以上」との条件を挙げている金融機関もあります。

  • 最低勤続年数

雇用形態によって差があります。

給与所得者の場合は「勤続年数13年以上」、個人事業主や会社経営者の場合は、「事業年数が3年以上(かつ、経営が黒字)」が目安です。

なお、契約社員やパート従業員の場合は申し込みができない金融機関もあれば、状況に応じて申し込み可能とする金融機関もあります。

  • 最低年収

近年は最低年収のハードルが下がり年収100万円程度でも「申込可能」とする金融機関や、特に年収要件を設けず、年収と借入額の割合が妥当であれば貸出する、といった表記の金融機関もあります。

以前ほど年収要件は厳格ではないようですが、価格の大きさから考えると「年収300万円」を目安と考えるといいでしょう。

  • 団体信用生命保険への加入

住宅ローンを組むには、死亡や高度障害を保障する団体信用生命保険への加入が必要です。団体信用生命保険の加入が不要の住宅ローンもありますが、数は多くありません。

住宅ローン要件2 物件に関する要件

  • 建築要件

建ぺい率、容積率、躯体構造などについて、建築基準法を満たしているのが大原則です。

床面積が極端に狭い住宅では審査が厳しいこともあります。

  • 権利要件

敷地が借地権の場合、申込みできないケースがあります。

住宅ローン要件3 その他の要件

  • 貸出限度額

貸出限度額は8,000万~1億円程度。ただし、物件価格を上限とする金融機関が多いです。

「物件価格」については、住宅購入にかかる費用を含む金融機関もあります。

住宅購入にかかる費用とは一般に次のようなものです。

・不動産登記費用

・住宅ローン諸費用(抵当権設定や保証料)

・不動産仲介手数料

・火災保険料住宅ローン諸経費など

  • 返済期間

通常は最長35年です。ただし年齢要件が優先されるため、完済年齢によってはより短くなります。

まれに35年超の住宅ローンもありますが、35年を過ぎても担保価値が残っている物件であることが求められますので、耐久性や安全性能が良い住宅でないと難しいです。

  • 保証要件

金融機関の審査だけでなく、保証会社の審査を通らなければなりません。

住宅ローンの要件で気を付けたいのは

住宅ローンの申し込み前に、確認しておくべきことがいくつかあります。

信用情報の履歴を調べる

クレジットカードやマイカーローンなどの延滞情報は各信用情報機関に35年程度履歴が残ります。

住宅ローン審査では延滞履歴を調べますので、延滞履歴があるとまず住宅ローンは通りません。

延滞履歴の有無が気になった場合は、信用情報機関へ「情報開示」を依頼して自身の信用情報を把握しましょう。

【参考 主な信用情報機関】

返済負担率を算出

返済負担率とは年収に占める年間返済金の割合のことで、「年間返済額÷年収×100」で算出できます。

年収500万円の世帯で、住宅ローンの年間返済額が150万円であれば返済負担率は30%です。

例として、フラット35の場合は次のような基準になっています。

  • 年収400万円未満 30%以下
  • 年収400万円以上 35%以下

出典フラット35「【フラット35】ご利用要件」

フラット35の基準は緩めとされているため、上記の割合はクリアして審査に臨みましょう。

なお、ここでいう年間返済金とは、住宅ローン以外の返済金も含めた金額となることです。

住宅ローンの返済負担が軽いとしても、マイカーローンや家電ローンなどの負担が多くては、審査が厳しくなってしまうので注意しましょう。

信用情報や返済負担率の計算は自身で行えますので、審査の前に把握しておきます。

また、住宅ローン要件と同時に、審査のしくみについても知っておきたいです。

一般的な住宅ローン審査は「仮審査」と「本審査」があります。

仮審査は住宅ローン契約を行う金融機関が行い、本審査は返済を保証する保証会社が行います。

通常、金融機関よりも保証会社の審査の方が、要件が細かいとされています。

住宅ローンを通りやすくするには

住宅ローンには要件があります。

要件の概要を把握していても、詳細は金融機関ごとに異なりますので、審査落ちの可能性は否めません。

勝率を上げたいなら、頭金を用意し、借入額を少なくするのが確実です。

完済期間が定年を大きく超える場合に、返済期間を短くするのも選択肢の一つでしょう。

ただし、返済期間を短くすると毎月返済額が大きくなりますので、家計の負担もよく考慮したうえで返済期間を決定します。

借入金額や返済期間への不安が大きいときは、申込金融機関、家計の専門家(ファイナンシャルプランナー等)に相談してみてもいいでしょう。

なお、住宅金融支援機構のフラット35は、物件に対する要件は厳しいですが、人的要件は緩めとされています。

通常の住宅ローンで審査が厳しい個人事業主や会社経営者でも審査が通りやすい傾向です。

人的要件が気になるなら、フラット35を検討してみてください。

住宅ローン要件の確認は物件選びと同時に進めよう

住宅ローン要件は審査を通してみないとわからない部分があります。

とはいえ一般的な要件を満たしているかは自身で確認できますし、信用情報や返済負担率についても把握しておくべきです。

物件選びと同時並行で進めると、住宅ローン要件を考えながら物件価格を調整できるので、効率的です。知識を持って、住宅ローン契約をスムーズに進めましょう。

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