横山晴美 返済

住宅ローン返済中の転勤にはどう対応すべきか?ケースごとの特徴や注意点をご紹介

2019年12月5日

念願のマイホームを購入した後、会社から転勤を命じられたらどうすればいいのでしょう。

選択肢は複数ありますが、どういった選択をするかで住宅ローンの取り扱いも変わってきます。

転勤時における住宅ローンの取り扱いについてご紹介します。

住宅ローンはどんなローン

最初に、住宅ローンの特徴を確認しておきます。あまり意識することはないかもしれませんが、住宅ローンは実はローンの中では特殊な存在です。

住宅ローンの特徴

  1. 返済期間が長い
  2. 金利が低い
  3. 総量規制の対象外

「1」の返済期間の長さと、「2」の金利の低さが相まって、住宅ローンは借りる金額のわりに負担が小さいローンとなります。

「3」の総量規制は、貸金業者に関する規制などを定めた法律である貸金業法による貸出しのルールです。

総量規制の内容は、貸金業者から借入れできる総額を、年収の3分の1までとするもの。

ただし、住宅に関するローンは、自動車ローンや医療ローンなどとともに総量規制の対象外となっているのです。

これらの特徴から、住宅ローンが借り手にとって非常に有利なローンであることがわかるかと思います。

そのため転勤時には、住宅ローンとして返済が続けられるかが重要になってきます。

なお、住宅ローンは「日々の生活の拠点」である住宅が対象です。

休暇中に利用する別荘や賃貸収入を目的とした投資用物件は、セカンドハウス専用ローンや不動産投資ローンなどが適用され、通常、住宅ローンよりも高い金利となります。

もしも転勤によって返済中のローンが「住宅ローンではない」と判断された場合は、どのようなことが危惧されるのでしょうか。

個別的な問題ではありますが、心配な点を挙げたいと思います。

住宅ローンの適用外になった場合の問題点

  • 不動産ローンの取り扱いになる(適用金利が高くなる・返済期間が短くなる)
  • 宅ローン控除の適用が受けられなくなる
  • 住宅ローンの一括返済を求められる

上記のようなことが起こり得ます。

実際にどうなるのかは金融機関の判断になります。

転勤時の状況や契約者の事情などによっても異なるのでどうなるかはわかりませんが、返済が不利になる可能性がある点は知っておくといいでしょう。

なお、住宅ローン控除の適用については後で詳しくご紹介します。

住宅ローンとして返済が続けられない場合の弊害を踏まえたうえで、転勤時の主な選択肢である3つについて個別にご紹介していきます。

転勤時の選択肢1 単身赴任

配偶者や子どもなど、家族がいれば単身赴任を選ぶことも多いでしょう。

マイホームに家族が残るうえでの単身赴任であれば、住宅ローン契約はそのまま継続できるのが一般的です。

ただし、契約者が転勤することはあらかじめ金融機関に連絡しておきましょう。

住宅ローン控除についても、マイホームに家族が残る単身赴任なら継続して適用を受けることが可能です。

単身赴任時における住宅ローン控除で注意したいのは海外に単身赴任する場合です。

勤務先が海外の場合で、平成28年3月31日以前にマイホームを購入している人の場合は、住宅ローン控除が継続できなくなります。

平成28年3月31日以前は本制度の適用対象者が「居住者」に限られおり、転勤先が国外で「非居住者」に該当すると適用不可となるからです。

なお、「居住者」とは国内に住所がある人、または引き続き1年以上「居所」を有する人のことです。居住者以外の人が「非居住者」となります。

家族全員で引越しするケース

家族全員で引っ越す場合はどうでしょう。

このケースでは、引越しの間家をどうするのかによって取り扱いが変わってきます。

いずれ帰ってくることが前提なら、「空き家として保有しておく」「賃貸に出す」の2つがが主な選択肢です。

帰ってくることが前提でなければ、「売却」の可能性もありますね。

それぞれのメリット・デメリットを解説します。

転勤時の選択肢2 空家

転勤中マイホームを空家にしておくメリットは、転勤中も自由に使用できることと、帰ってくる時期に縛りがないことでしょう。

週末や長期休みにはマイホームに帰りたい人や、想定よりも早く転勤先から帰ってこれそうな人は、空き家にしておくメリットがあります。

家が傷まないようメンテナンスは必要ですが、賃貸や売却と比較するとその手間は小さいはずです。

一方、空き家にする場合のデメリットは何でしょう。

まず気になるのが住宅ローンの取り扱いです。家族で引越しして空き家になれば「日々の生活の拠点」とは言えません。

先ほども触れた通り、住宅ローンが継続できない可能性があります。

住宅ローンとして返済が続けられるのかどうか、仮に続けられない場合はどのような取り扱いになるのかを早い段階で金融機関に相談しましょう。

空き家にしてもなお、住宅ローン契約が継続できる場合でも、返済の負担に耐えられるかきっちり試算しなければなりません。

転勤に伴う引越し費用、引越し先の賃料や生活費等を総合的に見て、返済が難しいようなら空き家以外の選択をすることになります。

特に、転勤期間が長い場合や、帰ってくる時期の見通しが立たない場合は要注意です。

本当に空き家がベストかどうか、よく考える必要があるでしょう。

なお、家計の負担を考える際は、マイホームの固定資産税や、マイホームのメンテナンス費用なども忘れないようにしてください。

住宅ローン控除は、空き家にしている期間は適用を受けることができません。

しかし帰ってくれば再び適用を受けることが可能です。

マイホームの所在地の所轄税務署で手続きを確認しておくといいでしょう。

転勤時の選択肢3 賃貸

賃貸は、賃料収入が期待できるのが大きなメリットです。

引越し先でも賃料がかかるケースでも、賃料収入があれば心強いでしょう。

住宅ローンの取り扱いが金融機関ごとに異なる点と、賃貸利用中は住宅ローン控除を受けることができない点は空き家のケースと同じです。

まれに、マイホームに人が住んでいれば「居住用物件」だから住宅ローンが適用できると誤解している人がいます。

もしも金融機関に無断でマイホームを賃貸利用すると、契約違反とされ、一括返済を求められるかもしれません。

賃料収入は魅力ですが、借り手との賃貸契約に縛られるため家に戻りたいタイミングで戻れないかもしれません。

また、賃貸経営の労力も小さなものではありません。賃貸物件としては、自宅以上にメンテナンスに気を配る必要がありますし、不動産会社との連携や不動産所得の申告なども必要です。

さらに忘れてはならないのが経営リスクです。

時間や手間をかけても、入居者が見つからない「空室リスク」があります。

マイホームを活用した賃貸経営は、規模は小さくともれっきとした「経営」です。

賃貸需要の有無や収益性はシビアに見極るようにしましょう。

転勤時の選択肢4 マイホームを売却する場合

マイホームを売却する場合はどうでしょう。

売却してしまうのですから、住宅ローンの取り扱いも、住宅ローン控除の適用も問題になりません。

売却時にまず重要なのは、住宅ローン残高と売却価格の関係です。

住宅ローンの残っている物件を購入する人はいないため、売りに出すなら住宅ローンを完済しなければなりません。

通常は売却価格をもって住宅ローンを一括返済しますので、売却価格が住宅ローン残高を上回らなければなりません。万一、売却価格が住宅ローン残高より低いと、不足分を自身で補填する必要があります。

売却したいと考える場合も、不動産会社に相談して、売却推定額を確認したうえで売却するかどうか決定するようにしましょう。

まとめ 住宅ローン返済中の転勤は、複数の選択肢がある

4つの選択肢をご紹介しました。

どのケースでも、少なからず家計への影響が生じます。

本人の意向も重要ですが、希望する選択肢が経済的に難しいこともあるでしょう。

複数の選択肢を比較し、総合的にベストの選択をしていきましょう。

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