住宅ローンジャーナル

40代で住宅購入!住宅ローン返済時の注意点とは

(構成・文=横山 晴美/ファイナンシャルプランナー)

40代で住宅を購入は増えつつあります。

40代は、収入が多く、資産もそれなりにある人が多いです。

余裕を持って住宅購入が出来そうですが、定年までの期間が短い点には注意が必要です。

高収入ゆえに購入に踏み切り、定年近くになって生活が苦しくなってしまうケースも多いです。

40代の住宅購入について、傾向や注意点を見ていきましょう。

40代の住宅購入 その傾向は

40代の住宅購入者はじわじわと増えていることをご存じでしょうか。

フラット35利用者調査による融資利用者では、40代の利用者割合は次のように推移しています。

フラット35利用者の40代の割合

  • 2007年 19.6%
  • 2008年 22.7%
  • 2009年 23.6%
  • 2010年 21.2%
  • 2011年 21.6%
  • 2012年 22.1%
  • 2013年 22.7%
  • 2014年 24.8%
  • 2015年 25.2%
  • 2016年 24.6%
  • 2017年 25.1%

微減の年もありますが、全体として増加傾向にあるのは間違いありません。

40代は、家財の購入費用も高い

40代は収入的には主流の購入層である30代よりも多いです。

そのためか、年齢が高くなると家具や照明器具などの購入費も価格帯が上がる傾向にあります。

住宅建築・購入後、約1年以内に購入した耐久消費財の平均的な金額は、次のようになります。

  • 一戸建て(新築)  201.0 万円
  • 建売住宅 105.1 万円
  • 新築分譲マンション 85.9 万円

出典住宅取得に係る消費実態調査(2014年度)|住宅金融支援機構

平均額は決して安くありません。

さらに、カーテンやダイニングセット、エアコンや照明器具などは、20・30代よりも40代の方が購入金額が多くなっています。

通常の感覚で家具や照明器具を購入すれば、平均額よりも多少高めになる可能性が高いです。

住宅の金額だけでなく、そのほかの諸経費も含めて資金繰りを考えることが必要ですね。

40代の住宅ローンは審査が厳しいことも

40代で住宅購入を決める理由はいろいろでしょう。

例えば、それまで夫婦共働きで自由にしていたが、子供ができた。

子供がいない夫婦が、終の棲家を手に入れることにした……などです。理由に関わらず忘れてはならないことは、住宅ローンを組むなら40代がギリギリのラインだということです。

金融機関では、住宅ローンの利用条件に「80歳で完済すること」と定めている場合が多いです。

通常の35年ローンを利用する場合は、45歳まで(80歳-35歳=45歳)に住宅ローンに申し込まないとならないことになります。

審査は年収や年齢だけではない

申し込みができても、審査が通るかはまた別の問題です。

住宅ローンの審査では、年収や完済年齢だけでなく、健康状態も審査対象です。

住宅ローンの要件をよく見ると「団体信用生命保険に加入できる方」と記載されていますが、これが健康状態と関係があります。

団体信用生命保険とは住宅ローンの残高と連動した生命保険で、住宅ローン返済中に万が一の事があった場合に、住宅ローン契約者に代わって生命保険会社が残債を支払うものです。

団体信用生命保険に加入していれば、住宅ローン契約者に万が一のことがあっても、住宅ローンの支払いを遺族が引き継ぐことはありません。

世帯主がもしも死亡したときに保険金で住宅ローンが完済されれば、金融機関としても安心です。

返済不能リスクが減ずるので安心です。そのため、団体信用生命保険に加入できることが貸出し要件になるのです。

団体信用生命保険は生命保険の一種となるため、健康でなければ加入できません。

一般的には簡単な告知で加入できますが、20代・30代のときよりは健康リスクが高くなっているので審査には注意が必要です。

団体信用生命保険の引受条件は金融機関ごとに異なりますが、告知例をご紹介します。

【団体信用生命保険の告知書の例】

  • 最近3カ月以内に、医師の治療(指示・指導を含む)、投薬を受けたことがある
  • 過去3年以内に病気やけがで、手術を受けたこと、継続して2週間以上にわたり医師の治療(指示・指導を含む)、投薬を受けたことがある
  • 過去1年以内に健康診断、人間ドックを受けて臓器や検査の異常を指摘されたことがある
  • 手・あしの欠損、または機能に障害がある。または背骨・視力・聴力・言語・そしゃく機能に障害がある

上のような質問に対し、1つでも「はい」があると加入できないことがあります。

病歴や入院歴があっても数年経てば加入できます。

若い人ならば数年待ってから再度申し込み可能かもしれませんが、40代の場合は待っているうちに住宅ローンの完済年齢が80歳を超えてしまうこともあるでしょう。

団体信用生命保険は加入の足かせになることもありますが、健康リスクを回避してくれる心強い存在です。

年齢により健康に不安がある人ほど、手厚い保険に加入しておくと安心です。

審査の悪材料が多いと保証料にも影響

保証料は、返済ローンの返済がなんらかの理由で滞ってしまったときに、保証会社に返済を変わってもらうための費用です。

保証料額は借入額・返済期間・返済方法などを考慮して決定されますが、延滞リスクが低い人は保証料が低く、延滞リスクが高い人はためになる傾向があります。

保証料の計算は金融機関ごとに異なりますが、加齢もリスクの1つなので、保証料が高めになるかもしれません。

40代の住宅購入 注意点と対策

40代で住宅購入する場合、住宅ローンの毎月返済額にも注意したいです。

厚生労働省「平成28年賃金構造基本統計調査」によると、賃金は、20代から段々に増えていきます。

収入が多ければ、購入する物のグレードも高くなりがちで、住宅の購入金額も例外ではありません。

さらに重要なのが、今後も順当に賃金が増えるとはいえない点です。

同資料によると、賃金のピークは男女ともに50~54歳で、その後定年に向けて賃金は徐々に下がっていきます。

40代時点の年収を基準にして住宅ローンを組むと、賃金が下がったときに返済が苦しくなるかもしれません。

毎月返済額にやや余裕を持たせて借入れすることが望ましいですね。

40代の住宅購入の注意点をいくつか見てきました。

具体的にどのように住宅購入をし、住宅ローンを組んでいけばいいのか考えてみましょう。

40代で子供を授かり住宅を購入する共働き夫婦

年代に関わらず、子供ができたことで住宅購入を決断することは少なくないです。

ただし、40代の場合、収入を自由に支出していた期間が長かったので子供ができたあとの家計のやりくりに気を付けましょう。

夫婦2人なら、お財布が別々でも、互いの貯蓄額を知らなくとも生活していけますが、子供の養育費は夫婦で協力して支出していくべきです。

また、妊娠・出産・子育てにより、一定期間妻の収入が減ることが予想されます。

世帯収入は減るのに養育費や生活費などの支出は増えるわけですから、実質的にいくら住宅ローンの返済に回せるのか確認しなければなりません。

40代の場合、住宅ローン&教育費とダブルの支出が定年後も継続する可能性が高いです。

定年後の返済が苦しいときは、退職金か預貯金で繰上返済することになります。定年時の住宅ローン残高の金額を把握し、繰上返済ができる額の住宅購入をしましょう。

40代で、夫婦2人の終の棲家を購入する

共働きで子供がいないと、生活には余裕があることも多く、そういったケースは高額物件を購入することが多いです。

高額で資産価値の高い住宅は固定資産税も高くなります。

また価格帯の高いマンションは管理費・修繕積立金も高額なことが多いです。

固定資産税や管理費等は、住宅ローンと違い一生支払いが続くので、生涯にわたり支出が可能か十分に検討する必要があります。

どちらのケースも、通常の「35年ローン」だと返済期間が定年後も継続します。

そのため、購入時の収入ベースではなく、定年時の住宅ローン残高を意識して住宅購入を行うことが大切です。

定年後の返済が苦しいときは、自己資金を活用し、当初から住宅ローンの返済方法を短くするか、適切な時期に繰上返済を行うなどしなければなりません。

どちらも自己資金を活用する方法です。

自己資金を減らしすぎて教育費や老後資金が不足してしまっては問題ですので、自己資金が乏しい場合は購入価格で借入額を調整しましょう。

40代の住宅購入、長期的な資金計画がカギ

40代での住宅購入は資金力や収入面では余裕があるように見えます。

しかし時間的余裕はなく、教育費や老後資金の準備も考えると、思った以上に厳しい資金繰りになるかもしれません。

住宅ローンの返済はもちろん、返済後の生活まで考えて資金計画を考えていきましょう。

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