住宅ローンジャーナル

低金利時代のミックスローン!メリットはある?

(構成・文=横山 晴美/ファイナンシャルプランナー)

住宅ローンの返済方法は金利の変わらない「固定金利」と金利が経済状況によって変動する「変動金利」があります。

どちらにもメリット・デメリットがあるので、選択を迷う人も多いです。

しかし、両者を組み合わせた金利ミックス型のローンをご存知でしょうか。

固定と変動、どっちにも決めかねる人にとっては救世主にも思えますが、利用するなら特質をしっかり理解しなければなりません。ミックスローンについて解説します。

金利混合のミックスローンとは

固定金利型と変動金利型を組み合わせた住宅ローンがミックスローンです。両者を組み合わせることで、それぞれのメリット・デメリットを補うことができるとされています。先に「変動金利」「固定金利」単独で返済する場合のメリット・デメリットを確認してみましょう。

メリット

デメリット

変動金利

金利水準が固定金利より低い

金利上昇リスクがある

固定金利

金利上昇のリスクがない

変動金利より金利水準が高い

まとめると、安定性をとるか、金利の低さをとるのかの選択ですね。しかしミックスローンならば、固定金利と変動金利を組み合わせることで、低い金利水準の変動金利を選択しつつ、金利変動時のリスクも抑えることができます。

一般的にミックスローンの組み合わせは「変動金利」「全期間固定金利」と、一定期間固定金利の「固定金利特約型」も加えた3種類を組み合わせることが可能です。組み合わせのバリエーションは金融機関ごとに異なるので詳細は申込む金融機関に確認しましょう。

ミックスローンの効果

わざわざミックスローンにしなくとも、当初変動金利を選択し、金利が上昇してしまったら固定金利に乗り換えればいいと考える人も多いかもしれません。しかし一般に固定金利は変動金利に先んじて上昇するといわれています。そのため、いざ変動金利が上り、乗り換えようとしたときに、固定金利の金利が高水準になっている懸念があります。

現在よりも若い金利にわざわざ乗り換える決断はしにくいものです。結果、金利が上昇してもそのまま変動金利で返済し続ける人は少なくありません。その点、最初からミックスローンにしておけば乗り換えの必要性は低いので安心です。

ミックスローンの限界について

リスク軽減効果、もしくは金利引き下げ効果は固定金利・変動金利の割合に比例します。変動金利の割合を多くすればその分金利上昇リスクは大きくなりますし、固定金利が大部分を占めれば金利水準はあまり引き下がらないことになります。

また、低金利時代においては、固定金利のみを選択しても返済額に大きな差はないので、シンプルに固定金利一本で契約すればいい、という意見も。

金利タイプによる返済額の差は

借入額と返済期間が同じで、金利だけ異なる場合、返済額はどの程度変わってくるのでしょうか。「全期間固定金利」「変動金利」「ミックス金利」の3つで比較してみましょう。

金利は、現在が低金利であるため、動くとしたら上昇する可能性のほうが大きいです。そのため金利は上昇すると仮定しました。なお、ミックス金利は全期間固定金利と変動金利の組み合わせとします。

【共通条件】

借入額 3,000万円
返済期間35年

【全期間固定金利】

  • 全期間固定金利 1.2%
  • 毎年返済額 約105万円
  • 総返済額 約36,754万円

【変動金利】

  • 当初金利 0.8%

35年後には3%にまで金利が上昇したとする
便宜上、35年間で均等に金利上昇させた(単純平均金利は2.3%

  • 毎年返済額

(当初) 約98.3
35年後) 約132.7万円

  • 総返済額 約40,834万円

【ミックスローン】

  • 金利条件は先の「固定金利」「変動金利」と同じで、借入れ割合は下記のとおり半分ずつ

固定 1,500万円
変動 1,500万円

  • 毎年返済額 固定金利分 約52.5
  • 毎年返済額 変動金利分

(当初) 約49
35年後)約66

  • 総返済額 約3,879万円

【総返済額一覧】

金利種類

全期間固定金利

変動金利

固定金利+変動金利

総返済額

36,754万円

40,834万円

3,879万円

このように、金利上昇時おいては単純に変動金利のみを選択するよりも、固定金利と変動金利を組み合わせたほうが総返済額は抑えることができました。ただし、これは金利上昇時の試算です。もし金利が下がる、もしくは横ばいならば、変動金利1本のほうが総返済額は小さくなります。

返済計画を立てよう

ミックスローンは固定金利と変動金利双方の組み合わせであるため、どちらかのみを選択する必要がありません。そのため、いわゆる「決められない人」が選択しがちです。しかしミックスローンを選択するならば、消去法ではなく、良さを知って積極的に活用することをおすすめします。

ミックスローンはリスクを程よく回避したい人にとって有益なローンです。例えば、変動金利を希望しているが、金利上昇が怖いならば、金利上昇時に返済額が増えすぎないよう固定金利部分を組み入れたいです。家計の余裕に応じて固定金利の借入れ割合を決定しましょう。

【変動金利を希望しているが、金利上昇リスクを抑えたいときの考え方】
  • 多少金利が上昇しても返済は可能ならば、「保険」として固定金利を選択するので固定金利の割合は低め
  • 将来的に金利が上昇すると考えている、今後教育費が増えるなど、金利上昇リスクが高いならば、固定割合は高目が望ましい

逆に、固定金利を希望しているが、金利の高さが気になっている世帯ならば、返済額を抑えるために一部変動金利を組み入れることも有効ですね。その場合は、金利上昇リスクをどこまで許容できるのか考えます。

【固定金利を希望しているが、返済額を抑えるために一部変動金利を組み入れたいときの考え方】
  • 金利上昇時に、繰上返済して金利上昇を抑える余裕があるならば、変動金利の割合は高めでもいい
  • 余裕資金が確保されている、世帯収入がアップする見込みがある、などの場合も変動金利の割合を高くできる

通常のミックスローンでは、返済比率を自由に決められるので、自分の返済能力やリスク回避したい度合いに合わせて「固定・変動」の借入れ割合を微調整することができます。

上の例で共通しているのは、状況が変わったときも想定して借入れを行う点です。一部でも変動金利を利用するならば、金利が上昇しても返済できるかどうか、しっかり考慮しなければなりません。単純に「(固定金利か変動金利か)決められないから」とミックスローンを選択するのではなく、返済プランに合わせてミックスローンを活用しましょう。

金利上昇リスクはどう考える?

返済プランを考えるさいに、金利上昇のリスク許容度はどう考えればいいのでしょうか。当然、返済能力とライフプランの両面から考えることが大切です。

返済能力は単純に返済に余裕があるだけでなく、もし金利が上昇した場合に、返済額の増加を防ぐために繰り上げ返済ができる(余裕資金がある)こともさします。ただし、こういった世帯でも、将来的に支出が増えて返済の余裕が失われる、余裕資金を取り崩してしまう懸念があります。そのため子どもの教育費や、自身の退職年齢も含めたライフプランも考慮することが必須なのです。

迷ったら、不動産会社に複数のシミュレーションを出してもらい具体的金額を確認しながら考えましょう。金利上昇のタイミングや繰り上げ返済の具体的な金額と結果まで知りたい場合は、家計相談の専門家に相談することを検討してもいいですね。

ミックスローン契約について知ろう

ミックスローンの契約や手続きは各金融機関で異なるため、申し込む金融機関のミックスローン商品を把握しましょう。いくつか事務手続き上の事例を見てみましょう。

  • 借入は2口となる、ただし、ローン契約や抵当権設定契約は1契約で可
  • 金利以外の条件(返済期間・返済日等)については、2口同一条件でないとならない
  • 金利種類ごとに固定金利手数料、固定金利特約手数料が必要

このようにミックスローンならではの特徴があるほか、ミックスローンの取り扱い自体がない金融機関もあります。ミックスローンがない金融機関で異なる金利ローンを借入れしたい場合は、住宅ローンを2口契約することになります。そのときは夫婦それぞれが借入れを行うペアローンを活用する方法がありますが、ペアローンは夫婦それぞれに収入がなくてはなりませんし、事務手数料や抵当権の設定も2口分必要です。

どの返済方法もメリット・デメリットがある

ミックスローンの特徴を、固定金利・変動金利と比較しながらご紹介しました。返済プランに合わせて柔軟に固定・変動金利を混合できるミックスローン。選択するならば、上手く取り入れて返済しやすくしていきましょう。

イオン銀行
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