住宅ローンジャーナル

住宅の契約時に確認したい!住宅ローン特約(条項)

住宅の契約時に確認したい!住宅ローン特約(条項)

(構成・文=横山 晴美/ファイナンシャルプランナー)

家を購入するときは、住宅ローンを利用するのが前提であることが一般的です。

しかし住宅ローンは審査があるので、誰しも資金を借りられるとは限りません。

家の購入を決め、契約を結んだ後に審査が通らなかった場合にどうなるのか不安ではありませんか?そんなときのために契約時には「住宅ローン特約」があります。

どんな内容なのでしょう。

住宅ローン特約とは

住宅の価格は高額です。購入を決めると売主・買主は売買契約書を交わします。その際に住宅ローンの融資が確定していなくとも、売主・買主双方が住宅ローンの審査が通ることを前提で契約します。

とはいえ、住宅ローンで融資が受けられないケースもあるため「住宅ローンが組めなかったら無条件で売買契約を解約します」という特約を売買契約書に盛り込んでおくのです。この特約を通称「住宅ローン特約」や「ローン条項」と呼びます。

もしも審査に落ちてしまったら、融資が受けられないのに「契約したんだから購入してくれ」と言われても困ってしまうかもしれません。

このためこれは買主を守るための特約といえます。

住宅ローン特約の記載内容

契約は契約者同士のものですので、住宅ローン特約の文言はさまざまです。例えば次のような文面で記載されます。

【住宅ローン特約の例】

例1 融資が受けられないとき、売買契約は効力を失う

例2 住宅ローン契約が不成立の場合には、売買契約を解約することができる

例1は「効力を失う」とあるので、融資が受けられなければ契約の効力は当然に失効することになります。

しかし例2は「解約することができる」とあるので、解約の意思表示をしないと売買契約は継続することになるので注意が必要です。

同じような文面でも、意味が変わってくるため、住宅ローン特約の内容はしっかり確認しておきましょう。

住宅ローン特約がないとどうなる

住宅ローン特約がない売買契約を結んでしまった場合に、住宅ローンの審査を通らないとどうなるのでしょうか。

ここで重要なのは、住宅ローンの「審査に落ちた」ことは買主側の事情である点です。

買主側の事情で一方的に売買契約を廃棄するのであれば「支払った手付金が戻ってこない」、「契約不履行の損害賠償や違約金を請求される」などの事態も考えられます。

手付の種類も知っておこう

ここで「手付」について確認しておきましょう。住宅の売買は金額が大きく、かつ契約から引き渡しまで相当の時間を有することになります。

そのため契約時に手付金を支払うことが多いです。金額は契約代金の5~10%、もしくは100万円程度と高額になるのが一般的です。

手付金は、特に取り決めがなければ契約が締結し代金を支払うときには代金に充当されるため、その意味では前払い的な意味も含まれるかもしれません。

しかし、手付の本質は「購入への明確な意思表示」です。

そのため、もしも、意思表示を翻して契約を行わない場合はペナルティの役割をはたします。それが「手付の放棄」です。

手付の放棄とは

手付の放棄、もしくは手付流しなどと呼ばれます。これは、買主が契約を履行しない場合には、支払った手付金が戻ってこない(売主のものになる)ことを指します。

一方、買主が契約を履行しないときは、手付の倍額を買主に支払う(手付倍返し)とされています。

前述の、住宅ローン特約なしに売買契約を廃棄(家を買わない)するのであれば「支払った手付金が戻ってこない」のがセオリー通りということですね。

なお、「手付の放棄」「手付倍返し」ともに、相手方が履行に着手するまでの話です。

例えば売主が所有権移転登記に着手したり、買主が中間金の支払いを行うなど、契約を履行するための具体的な行動に出た後は、手付の放棄や倍返しだけで契約解除を行うことは難しいとされています。その場合は、損害賠償や違約金が必要となるでしょう。

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住宅を購入したいタクヤさん
住宅ローン特約って、住宅ローンの保険である団体信用生命保険の「特約」なのかと思っていました。知られていないですけど、とても大事な特約ですね。
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住宅ローンの先生
そうですね。同じ「特約」ですが、団体信用生命保険の特約とは別です。売買契約を結ぶときは、契約書をしっかり確認しましょう。
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住宅を購入したいタクヤさん
手付金も、結構大きな金額なので返還が約束されると聞いて安心です。
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住宅ローンの先生
基本的には住宅ローン特約があれば手付金は戻ってくると考えていいです。しかし、住宅ローン特約があっても油断は禁物!続いて住宅ローン特約の注意点をご紹介します。

住宅ローン特約の注意点とは

住宅ローンの審査に不安がある人にとっては安心の住宅ローン特約ですが、住宅ローン特約の注意点も存在します。

注意点、そして対策も合わせて知っておきましょう。

注意点1 有効期限を確認しよう

通常、住宅ローン特約には期限が付されています。売主にしてみれば、審査待ちの期間は契約が確定せず、何もできない状況です。不安定な状態が続くのは売主にとって酷ですし、待ったのちに審査が通らないと、完全に時間を無駄にしてしまうことになります。

そのような事情で、住宅ローン特約は行使できる期間が決まっているのです。ただ、あまりに期限が短い場合は期間の延長を申し出ましょう。

住宅ローン特約の期限は2週間~1か月程度が多いようです。各金融機関では公式サイトで審査に要する日数を公表しています。

しかし、各金融機関が公表している日数は、何もなくスムーズに審査を行ったときの日数です。現実には書類の不備があり審査開始までに時間がかかったり、審査そのものも公表日数以上かかることがあります。

余裕を持った期限を設定しておきましょう。

注意点2 要件は意外と厳しい

住宅ローンが組めなかったときに大きな買い物をしないで済むよう、買主を守るための特約です。

しかし、無条件で契約解除や白紙撤回ができるわけではありません。

住宅ローン特約の有効性を争った裁判では、買主側も契約を成立させるため、誠実に努力することを求めています。

誠実な努力とはどんなものでしょう。

まず、申込を適切に行うことは最低限の義務でしょう。

例えば、申込期限に間に合わなかった、書類が不足していて審査の受付に至らなかった……などの理由で住宅ローン契約ができなかった場合は、住宅ローン特約の対象外となるでしょう。

他にも、次のような「誠実な努力が足りない」事例であると考えられます。

例1 保証人をつける努力をしなかった

保証人をつけることが融資の条件であったのに、保証人をつける(探す)努力をしなかったために、住宅ローン特約が無効とされた例があります。

現在は金融機関の指定する保証会社の保証を受けるのが基本であり、保証人が必要なケースは少ないと思うかもしれませんが、ローン契約者の事情によっては保証人を要する場合があります。

例えば、ローン契約者が団体信用生命保険に加入できないときは法定相続人が保証人になることを条件にローン契約を行う金融機関もあります。

意外と身近な事例かもしれませんので、知っておきましょう。

2 1回融資を断られただけで、他の金融機関に申し込むなどの努力をしなかった

希望する金融機関で融資を断られても、他の金融機関なら融資が通る可能性があるので、1回融資を断られたことを理由に契約を破棄することは難しいでしょう。

ただし、他の金融機関を利用することで金利が高くなってしまったり、諸経費が割高であったりすることも考えられます。

特定の金融機関でしか住宅ローンを組みたくない場合は、契約書に「〇〇銀行での融資が受ける」などと記載しておくのが望ましいです。

3 審査は通ったが、借入可能額が想定より下回ってしまった

融資額が想定より少なかったケースです。借入可能額が想定を下回り、自己資金を足しても物件価格に届かない場合、買主側としては「手の届かない物件だった。

あきらめよう」と思うところですが、住宅ローン特約としては、融資が通った以上、解約できないことがあります。

こちらも契約書に「融資3,000万円を受けて物件を購入する」など記載しておくとこのような事態を避けやすいでしょう。

まとめ 買い手を守る住宅ローン特約だが、注意点もある

買う側にとってはあると安心できる住宅ローン特約ですが、住宅ローンが通らなかったとしても、無条件に契約が解除・撤回できるわけではありません。

住宅ローン特約があることはもちろん、その内容までしっかり確認しておくといいですね。

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