基礎知識

住宅ローンにおけるプロパーローンとは

(構成・文=横山 晴美/ファイナンシャルプランナー)

住宅ローンの申し込み先を検討していると、「プロパーローン」という用語を聞くことがあるかもしれません。

一般的な住宅ローンとは特徴がやや違いますし、取り扱っている金融機関も少ないです。

ですが、プロパーローンが適している人も一定数います。

プロパーローンのメリットや注意点についてご紹介します。

プロパーローンは保証会社の保証がないローンのこと

住宅ローンにおけるプロパーローンは、「保証会社の保証がないローン」を指します。

通常の住宅ローンでは金融機関が定める保証会社から「保証」を受けてローンを組みます。

ここでいう保証とは、金融機関へ対する補償となります。

保証会社の保証があると、万一、住宅ローンの返済が滞った場合に保証会社が金融機関への返済を代位して行うのです。

仮にそのような事態に陥ると、住宅ローンの返済先が金融機関から保証会社へ変わります。

住宅ローン契約者の返済義務が消滅するわけではありませんのでご注意ください。

返済義務は変わらないため、住宅ローン契約者にとってはメリットが無いように感じるかもしれませんが、保証会社がいるからこそ、金融機関が安心して貸出しをすると考えれば、間接的に恩恵を受けていることになります。

保証会社の保証がある住宅ローンをここでは便宜上「一般的な住宅ローン」と呼んでいきます。

一般的な住宅ローンの審査時には、直接リスクを負うことになる保証会社の審査を受けなければなりません。

一方プロパーローンは、金融機関独自のローンとなりますので、保証会社の審査はなく、審査基準は金融機関が決めることになります。

なお、プロパーローンは「事業用ローン」や、住宅ローン以外の「収益物件に対する融資」との意味で用いられることもあります。

しかしここでは、住宅ローンの中における、保証会社の保証がないローンとしてプロパーローンについてお伝えしていきます。

プロパーローンは取り扱いが少ない?

プロパーローンは保証会社をはさまず、借入先金融機関から直接、住宅ローンの貸出しを受けるものです。

保証会社が介入しないので、返済不能リスクを金融機関が直接負うことになります。

そのため、取り扱う金融機関は少ないです。

また、取り扱いのある金融機関でも、大きく広告していないことがあります。

あまり表に出ないプロパーローンではありますが、例外として「フラット35」の存在があります。

多くの金融機関で扱っているフラット35はプロパーローンに分類されるのです。

住宅金融支援機構と民間金融機関の提携ローンである「フラット35」は、保証会社の保証のない商品で、住宅ローンを「証券化」して金融機関からを買い取る仕組みです。

保証会社がなくとも金融機関が返済不能リスクを負わないようになっています。

プロパーローン審査面のメリットと注意点

プロパーローンのメリットと注意点をご紹介します。

プロパーローンのメリット1

保証会社の保証がないため、保証料が不要です。保証料が必要な場合、数十万円単位の金額になりますので、初期費用を大きく削減することができます。

プロパーローンのメリット2

プロパーローンは保証会社の審査が不要ですので、審査基準が分かりやすい傾向にあります。通常の住宅ローン審査では、仮審査と本審査があります。

【一般的な住宅ローン審査】

  1. 仮審査 金融機関による審査
  2. 本審査 保証会社による審査

仮審査と本審査をする主体が異なるため、仮審査を通ったのに本審査で落ちてしまうことがあります。

これは、金融機関側は融資が可能だと考えているのに、保証会社側で融資がはねられるケースです。

このような場合、審査落ちの理由が分かりにくく、その後の改善も難しくなります。

その点、プロパーローンならば、金融機関独自の審査基準となりますので、審査落ちの理由も明確になりやすいです。

プロパーローンのメリット3

金融機関のみの審査で融資の可否が分かるので、融資実行までの期間が短い点もメリットです。

「(中古物件の)売主が売却を急いでいる」「子供の就学前に引っ越しを終えたい」など、急ぎのときには助かります。

プロパーローンの注意点は?

審査基準が明確で、融資がスピーディーなプロパーローンですが、審査基準が緩いわけではありません。

審査基準とは年収や勤続年数、年収倍率や年収倍率など、住宅ローンを貸し出しても大丈夫かどうかのチェック項目です。

プロパーローンの審査基準について気になる人も多いかと思いますが、金融機関によって差がありますので、一概には言えないのが現状です。

また傾向として、金利は高めになります。

金融機関が直接返済不能リスクを負うことになるため、金利が高くなるのはやむを得ないでしょう。

ただし金利も例外があります。ネット銀行のプロパーローンでは、「頭金を豊富に入れること」「審査を厳しくすること」などとしたうえで、金利を低く設定していることがあるからです。

そのようなプロパーローンは低金利が続く今だからこそ登場した商品とも言えます。

住宅ローンも日々進化していますので、常に情報をアップデートしておきたいです。

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住宅を購入したいタクヤさん
先生。原則として、プロパーローンは金利が高いと考えていいのでしょうか。

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住宅ローンの先生
そうですね。一部、金利の低さを売りにした商品もありますが、自己資金が多く必要であったり、審査基準が厳しかったりします。

通常のプロパーローンは保証がない分金利が高いと考えていいでしょう。

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住宅を購入したいタクヤさん
そうすると、「プロパーローンは気になるけれど、金利が高いなら遠慮しよう」と考える人がほとんどではないでしょうか。

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住宅ローンの先生
そういった人は、フラット35と金融機関独自のプロパーローンを併用する借り方もあります。

例えば、9割を一般の住宅ローンで借り、1割はプロパーローンで借りるのです。

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住宅を購入したいタクヤさん
どのようなメリットがあるのですか?

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住宅ローンの先生
例えば、「借りたい金額の全額で審査を通すのは難しそう」といったケースで活用できる余地があります。

借りたい額の1割をプロパーローンで借りられれば、保証会社での審査がある住宅ローンの借入額を1割減らすことが可能です。

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住宅を購入したいタクヤさん
プロパーローンの活用法は意外と広いのですね。

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住宅ローンの先生
ただし、金融機関独自の住宅ローンであることを忘れてはなりません。

金融機関ごとに特色の差がありますので、適した活用法もおのずと変わってきます。

申込予定の金融機関で、プロパーローンの内容をよく確認しておきましょう。

プロパーローンと一般的な住宅ローンとの違いは

プロパーローンのメリットとして、保証料が不要であることがあります。

ただし、保証人や連帯保証人は必要とされます。

保証会社の保証がある、一般的な住宅ローンとの違いは主に次の2つになります。

違い1 保証人の違い

  • 一般的な住宅ローンの保証人

保証会社の保証があるため、原則として不要です。

ただし、ローンが夫婦での収入合算やペアローンの場合は保証人が必要です。

ペアローンについては、双方が相手方のローンの連帯保証人になります。

  • プロパーローンの保証人

保証人または連帯保証人が必要になります。

違い2 抵当権の違い

  • 一般住宅ローンの抵当権

土地建物に対して保証会社、または金融機関を第1順位とする抵当権を設定します。

  • プロパーローンの抵当権

土地建物に対して金融機関を第一順位とする抵当権を設定します。

抵当権の設定者は、万が一返済が滞ったときには、土地を競売にかけて売却代金を返済金に充てることができます(抵当権の実行)。

保証会社が抵当権の第一順位であれば保証会社が抵当権の実行をすることになり、金融機関が第一順位であれば、金融機関が抵当権の実行をすることになります。

プロパーローンは特徴を知って活用しよう

プロパーローンは一般的なローンとは保証が異なります。

そのため、審査や保証料、抵当権などの部分に特徴が生じます。

「金利が高い」「審査が厳しい」といった独特の住宅ローンであることが多いため、特徴に合わせてメリット&デメリットを見極めましょう。

参考40年の住宅ローンを組む場合のメリット・デメリット

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