基礎知識

宅ローンのワイド団信 通常の団信との違いやリスクを紹介します

住宅ローンを組む際に、資産や収入が審査されることは周知のとおりですが、健康状態も重要な審査項目の一つです。

というのも、住宅ローンを組むためには団信が義務付けられていることが多く、健康状態が良好でないと団信に加入することが難しいからです。

働いて住宅ローンを返済していくためには、健康が重要な要素だからでしょう。

しかし、団信に加入できないだけでマイホーム購入を諦めたくない人もいることでしょう。

通常の団信に加入できないときの選択肢として、「ワイド団信」がありますが、通常の団信とはどのような違いがあるのでしょう。

ワイド団信について紹介します。

通常の団信の審査とは

晩婚化が進むなか、住宅購入の年齢層も上がってきています。国交通省の「令和2年度 住宅市場動向調査 報告書」によると、新築における住宅購入のボリューム層は30代ながら、40代以降も30代に次ぐ購入層となっています。

さらに中古住宅においては、建売住宅、分譲住宅ともに40代が30代の購入層を上回っています。

【建売住宅・分譲住宅を購入した世帯主の年代】

中古 建売住宅
30代 25.9%
40代 30.0%

中古 分譲住宅
30代 25.4%
40代 28.2%

個人差はありますが、一般的には若いほうが健康状態は良好です。

40代以降になると、生活や仕事に支障はなくとも既往歴がある人も少なくないでしょう。そのため、団信に加入できない可能性が高まります。

団信で加入できないケースは

団信の審査は「告知」によって行われます。

告知とは、過去の健康状態を申告するもので、告知をベースに加保険会社が加入の可否を判断します。

ただし、告知事項で既往歴や通院の事実を述べたからといって、必ず団信の審査に落ちるわけではありません。

例えば告知事項では最近3カ月以内における診察や検査、投薬の有無を尋ねる記載があります。

ここで「先月インフルエンザにかかった」「現在風邪で投薬を受けている」といったことを記載したからと言って審査に落ちるとは考えにくいです。

参考として、フラット35の機構団信の主な告知事項を紹介します。

心臓・血圧
狭心症・心筋こうそく・心臓弁膜症・先天性心臓病・心筋症・高血圧症・不整脈
脳・精神・神経
脳卒中(脳出血・脳こうそく・くも膜下出血)・脳動脈硬化症・精神病・神経症・てんかん・自律神経失調症・アルコール依存症・うつ病・知的障害・認知症
肺・気管支
ぜんそく・慢性気管支炎・肺結核・肺気腫・気管支拡張症
胃・腸
胃かいよう・十二指腸かいよう・かいよう性大腸炎・クローン病
肝臓・すい臓
肝炎(肝炎ウイルス感染を含む)・肝硬変・肝機能障害・すい炎
腎臓
腎炎・ネフローゼ・腎不全

緑内障・網膜の病気・角膜の病気
新生物
がん・肉腫・白血病・しゅよう・ポリープ
その他の病気
糖尿病・リウマチ・こうげん病・貧血症・紫斑病

これらの病気について、以下の条件を満たした場合に告知が必要です。

記入日(告知日)より最近3カ月以内に医師の治療(診察・検査・指示・指導を含む)・投薬を受けたことがあるか

記入日(告知日)より過去3年以内に、ⓐまたはⓑに該当することがあるか。

ⓐ上記の病気で手術を受けた

ⓑ上記の病気で2週間以上の期間にわたり、医師の治療(診察・検査・指示・指導を含みます)・投薬を受けた

住宅金融支援機構「重要事項説明」より

最終的には保険会社による総合的な判断で加入の可否が決まりますが、心疾患やがんなど、大きな疾患がある場合は審査が通りにくいようです。

ワイド団信のメリットとデメリット

通常の団信に加入できない場合に検討したいのがワイド団信です。

一言でいうと、引き受け基準が緩和されている団信で、通常の団信に加入できない人も加入できる余地があります。

ワイド団信のメリットは次のとおりです。

(通常の団信に加入できない人でも)住宅ローンが組める

住宅ローンを組む際は、金融機関が団信加入を義務付けていることが多いです。

そのため、団信に加入できないと住宅ローンが組めず、結果的に住宅購入自体を諦めることになりかねません。

ワイド団信に加入できれば、そのような状態を回避することができます。

死亡保障がある

ワイド団信は基本保障と言われる「死亡」「(保険会社所定の)高度障害状態時」の2つのリスクに対応します。

一方でワイド団信のデメリットは次のとおりです。

金利が高くなる

団信保険料として、一般的には金利が0.3%程度の金利が上乗せされます。

保障範囲が狭い

基準とおり、ワイド団信の保障「死亡」「(保険会社所定の)高度障害状態時」の2つです。通常、がん保障や疾病保障など保障の拡大はできません。

引き受け基準が明確ではない

一般の団信にも言えることですが、ワイド団信は加入事例そのものが少ないので、特に加入の可否を事前に推測しにくいです。

取り扱いのない金融機関がある

金融機関選びにおいて、「ワイド団信の取り扱いがある金融機関」との制限が入ってしまうため、選択肢が狭まります。

ただでさえ金利の上乗せが生じるため「金利が低い金融機関を選択したい」と考えるはずです。

そこに取り扱っている金融機関が少ないとなると、希望する金融機関で借りられないケースが増えると推測されます。

ワイド団信のリスク

ワイド団信によって住宅ローンの返済はどのような影響を受けるのでしょう。

リスクとなる部分を紹介します。

1:返済の負担が重くなる

金利上乗せの分、住宅ローン返済額の負担が重くなります。

大きな金額ではありませんが、正確な返済額がいくらなのかしっかりと確認し、返せる額を借りることが重要です。

2:健康リスクが高くなる

保障内容が狭いため、健康を害したときのリスクが高くなります。

もしも新たに病気になったり、病気が再発した場合には仕事に支障が出たり、通院などで出費がかさんだりすることでしょう。

通常の団信であれば、疾病特約を付帯することでこのような事態に備えることも可能ですが、ワイド団信ではそれができないため、注意が必要です。

フラット35なら団信に加入しない選択肢もある

なお、ワイド団信への加入も難しい、もしくはワイド団信に加入するメリットが少ないと考える人は、フラット35を選択する方法があります。

フラット35は団信への加入が義務付けられていないからです。

ただし、団信なしで住宅ローンに加入することになるため、かなり返済リスクが高くなります。

病気になった場合はもちろん、万が一死亡したとしても住宅ローンはそのまま残ってしまいます。

万が一死亡した場合、住宅ローンは住宅を相続する家族が返済を引き継ぐことになるでしょう。

相続した家族が住宅ローン返済を継続できない場合、自宅が競売にかけられてしまうかもしれません。

このようなリスクを踏まえ、団信不加入を検討する場合は病気・死亡時に返済が継続できるよう十分な貯蓄、医療・生命保険があるか見極めなければなりません。

ただし、次の点に注意します。

  • 医療・生命保険の保険金は申請手続きが必要で、保険金が振り込まれるまでに一定の時間がかかる
  • 世帯主死亡に備えた貯蓄が世帯主の名義になっていたので、世帯主死亡と同時に口座が凍結されてしまいスムーズに口座から引き落とせない
  • 住宅ローン返済用の資金はあったが入院や死亡などの手続きに追われ、引き落とし口座に資金を移動するのを失念してしまう

さらに、健康であったとしても収入減や離職の可能性があります。

団信不加入の選択肢は、幅広いリスクを想定したうえで、決定するべきです。

まとめ ワイド団信のメリット・デメリットとリスクを知って利用しよう

ワイド団信は通常の団信に加入できない人にとっては大きなメリットのある団信です。

しかし金利が上乗せされる、取り扱っている金融機関が少ない、などデメリットがあります。

より深刻なのは、疾病リスクに対応していないことでしょう。

もしもの時のリスクを知り、リスク対策が取れるかを確認したうえで申し込みを検討していきましょう。

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