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独身男性&女性の住宅ローンは厳しい?!住宅購入の注意点とメリット

(構成・文=横山 晴美/ファイナンシャルプランナー)

独身男性&女性の住宅ローンは厳しい?!住宅購入の注意点とメリット

独身者は住宅ローン審査に通りにくいと思われているようなので、審査項目についての解説(家族構成が審査に与える影響はごく僅か)と、単身者の返済プランについての注意事項など。

本来マイホームに家族構成は関係ありません。

しかし「マイホーム=家族の住まい」というイメージを持つ人も多いかもしれません。

そういったイメージが先行しているためか、住宅ローン審査においても単身者の審査が厳しいと思っている人がいるようです。

単身者である独身の男性や女性が住宅ローンを借りるときの注意点とメリットについて解説します。

独身だと審査が厳しいってホント?

総務省統計局「国勢調査報告」によると、50歳時点での未婚率は2000年ころから増え続けています。

2000年における、50歳時点での未婚率は男性12.57%、女性で5.82%でしたが、2015年における50歳時点での未婚率は男性で23.37%、女性で14.6%まで増えています。

実際に住宅購入する単身者はどの程度いるのでしょう。

住宅金融支援機構の「2018年フラット35利用者調査」によると、一戸建ての購入層はファミリー世帯が主流ですが、マンションでは単身者の割合が高くなってきています。

【単身者割合】

  • 新築マンションにおける単身者の割合 19.6
  • 中古マンションにおける単身者の割合 26.9

上記では、中古マンションについては購入者の4人に1人が単身者という結果が出ました。もはや単身者の住宅購入は少数派ではなさそうです。

婚姻が絶対的な価値観ではなくなった現在、未婚率は今後も増加することが予想されます。住宅購入についてもますます単身者の存在感が大きくなるでしょう。

なお、さまざまな家族の形があるため「単身者=独身」とは限りませんが、ここでは便宜上両者を同じく考えていきます。

出典住宅金融支援機構「2018年 フラット35利用者調査(PDF)」

独身でも審査されるべき部分はファミリーと同じ

実は単身者かどうかは、審査上であまり重視されません。

国土交通省「平成30年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」から金融機関が融資時に重要視すると答えた項目の上位8つをご紹介します。

  1. 健康状態
  2. 借入時年齢
  3. 完済時年齢
  4. 担保評価
  5. 勤続年数
  6. 年収
  7. 連帯保証
  8. 返済負担率

同調査では、「家族構成」と「性別」は、どちらも上位10位内にも入っていませんでした。多くの人が気にしがちな年収も6位にとどまり、健康状態や年齢が重要視されていることがわかります。

出典国土交通省「平成30年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書(PDF)」

審査に不安があるなら早いほうが有利

先に挙げた国土交通省の調査からは、住宅ローン審査では健康状態や年齢が重視される傾向が見て取れます。

その点からいうと、単身者であろうとファミリーであろうと、住宅購入を迷っているなら早く決断したほうがいいといえます。

というのも、購入が遅くなるとその分年をとってしまいますので、年齢要件が厳しくなってしまうからです。また一般的には、年齢が上がってからより、若いほうが健康なので、健康面でも早いほうが有利です。

勤続年数や頭金をためている最中であるなど、他の要因も考慮すべきではあります。

しかし、他の要因がクリアできるのであれば、スピード感をもって住宅購入を決断したいです。

独身男性や女性の返済プランで留意すべき点は

独身だからといって審査に特別に不利になるようなことは考えにくいですが、家族がいないことで生じる注意点は確かにあります。

どんな点に留意していけばいいのでしょうか。

1馬力であるリスクは男性も女性もある

夫婦の場合、2馬力の共働きであれば、収入減や失業のリスクは半減します。

たとえ片働きでも、夫婦がそろっていれば世帯主の収入が減った場合や失業したような場合に、もう一方の配偶者が就業することで家計を守ることが可能です。

その時の状況や家庭環境により一概にはいえませんが、基本的に家族は助け合うことができるといえます。

しかし単身者の場合、同居する家族がいない分、家計リスクが高くなります。

家計リスク対策としては、緊急資金として預貯金を常に確保しておくことや、保険の活用があるでしょう。生命保険や医療保険にはすでに加入している人が多いと思いますので、住宅購入時に特に気にしたい保険をご紹介します。

  • 団体信用生命保険

住宅ローン返済中に万が一のことがあった場合に住宅ローン残高がゼロになる保険です。

もともとは住宅ローン契約者が死亡したときに、契約者の家族を守る保険でした。

しかし現在では死亡だけでなく、病気やケガによる入院にも対応する団体信用生命保険が多いので、単身者の家計リスク備えることが可能です。

  • 所得補償保険

病気やケガで就業不能となったときの損失(失った収入)を補填するのが所得補償保険です。

入院はもちろん、自宅療養により働けなくなった場合も対象となります。

  • 個人年金保険

契約時に定めた一定の年齢から年金形式で保険金が受け取れるのが個人年金保険です。

定年退職後も住宅ローンの返済が続くときの備えになります。

住宅ローンを退職金で一括返済するとしても、老後資金の不足が懸念される人は検討の余地があります。

個人年金保険については、個人型確定拠出年金(iDeCo)も同じ効果を期待できます。

ただしiDeCoは加入している公的年金の種別や勤め先の企業年金の違いによって、掛金の限度額が異なりますし、投資リスクもあります。

ご自身で特質を確認して向いているほうを利用しましょう。

独身男性&女性ゆえのメリットも

単身者は家計リスクが大きいかもしれませんが、メリットもあります。

メリット1 リスクに対して身軽に対処できる

単身者のメリットは身軽さです。

想定外の収入減や支出の増加により住宅ローンの返済が苦しくなった場合は、「転売」という選択肢が取りやすいです。

転売は、住宅ローンの返済が滞るまえに行うのがポイントですので、迅速さが必要になります。

ファミリー世帯の場合、子どもの学校や進学といった問題が生じますし、家族全員が納得する転居先を見つけるのも時間がかかるでしょう。

マイホームを売る「転売」は簡単なことではありませんが、本人の決断のみで動くことができるのは大きなメリットです。

メリット2 ファミリー世帯と比較して支出の増加要素が少ない

ファミリー層は、子供の成長とともに教育費が膨らむのが一般的です。

特に住宅ローンの場合、購入後数年で固定資産税の減額がなくなり、住宅ローン控除の恩恵も徐々に小さくなっていきますので、支出が増えるのは二重苦です。

支出管理がしやすい単身者は、返済プランが立てやすく、一時的な支出の増加があったとしても、軌道修正しやすいメリットがあります。

独身でのマイホーム購入時はライフプランの変化に注意

単身者の住宅購入については、環境や家族構成変化に注意が必要です。

単身者の身軽ゆえに、移住や転職による引っ越しを希望こともあるかもしれません。

このような場合、せっかくのマイホームが足かせになる懸念があります。

また、結婚により家族構成が変化する可能性もあります。

結婚は喜ばしいことですが、互いにマイホームを保有していると、マイホームをどうするのかよく話し合わないとなりません。

なお、住宅ローン返済中の物件を賃貸に出すことは、原則としてできないことも知っておきましょう。

独身だと、老後リスクが高い側面も

また単身者は、老後リスクが高い一面があります。

老後に対して、漠然とした不安を抱える人もいるかと推測しますが、老後の生活費だけを見れば、子どもの結婚費用や孫への支出がない分、家計管理がしやすいといえます。

ただし注意したいのが、介護が必要になった場合です。

要介護状態になった場合は、施設に入るリスクが高くなります。

もしもの時に備えて、介護費用を多めに見積もっておく必要があります。

まとめ 独身男性&女性の住宅ローンは特別に難しいとはいえない

単身者だからと言って住宅ローンを組むのが特別に困難なわけではありません。

調査から見ると、単身であることよりも、年齢や健康状態が重視されるようです。

ただし、購入後のリスクにはしっかり備えることが必要です。

保険や現金でリスクヘッジしたうえで住宅購入に踏み切りましょう。

参考住宅ローン審査で重要な「属性」とは

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