申し込み者の収入だけでは希望額が借りられない場合、夫婦や親子など同居予定の家族で、安定した収入がある人の収入を合算する事ができる仕組みを、収入合算といいます。
収入合算には、連帯保証と連帯債務がありますので、それぞれの違いを解説します。
民間の金融機関は連帯保証が一般的で、フラット35や財形住宅融資では連帯債務が適用されます。
連帯保証とは
連帯保証とは、住宅ローンの主たる債務者(申し込み者)と連帯して債務の保証をする事です。
連帯保証人とは、連帯債務の規定により主たる債務者と同じ責任(連帯保証)を負います。
民間の金融機関では夫婦や親子など2人の収入を合算して住宅ローンを借りる場合には、夫が主たる債務者、妻や子が連帯保証人になる場合が多いです。
その際、住宅ローン契約が1件の場合は、連帯保証人は住宅ローン控除が受けることができません。
主たる債務者と連帯保証人の2人が住宅ローン控除を受けるためには、2人が同じ金融機関でそれぞれ住宅ローン契約をして、お互いに連帯保証人になる必要があります。
連帯保障の注意ポイント
お互いに連帯保証人になって、各人1件ずつ、合計2件分の住宅ローン契約する場合は、事務手数料が2件分かかります。
連帯債務とは
連帯債務とは、2人とも同じ債務を負って住宅ローンを一緒に返済する義務があることをいいます。
このように主たる債務者と一緒に住宅ローンの債務を負う人を、連帯債務者といいます。
金融機関は住宅ローンの返済が終わるまでは、主たる債務者と連帯債務者(従たる債務者ともいいます)のどちらにも請求できることになっており、連帯債務者も住宅ローン控除を受ける事ができます。
この連帯債務制度はフラット35や財形住宅融資で取り扱っていますが、銀行などの民間住宅ローンではあまり取り扱いがありません。
連帯債務の注意ポイント
フラット35の団信には夫婦どちらかが死亡・高度障害になった場合に保障されるデュエットがあり、通常の1.56倍の団信で加入できますが、
民間住宅ローンの連帯債務は一般的に団信に加入できないので注意が必要です。
その場合は民間の保険で準備する事も検討してください。
連帯保証と連帯債務の違い
連帯保証 | 連帯債務 | ||
---|---|---|---|
取扱金融機関 | 銀行などのほとんどの民間金融機関 | フラット35、財形住宅融資、一部の民間金融機関 | |
契約 | 1件の住宅ローン契約 | 同一金融機関で、お互い連帯保証人になり、それぞれ住宅ローン契約をする | 主たる債務者、従たる債務者が連名で1件の契約をする |
事務手数料 | 1件分 | 2件分 | 1件分 |
団体信用生命保険 | 契約をした債務者のみ加入するため、連帯保証人に万一の事があっても保障されない。 | それぞれ加入するため、双方が借入れ残高分の保障を受けられる。 | 民間の住宅ローンは主たる債務者しか加入できない。 フラット35で夫婦の場合は、機構団信デュエットで、どちらかが死亡・高度障害の保障が有り。 |
住宅ローン控除 | 連帯保証人は受けられない | それぞれが自分の借入れ残高に応じて受けられる | 連帯債務者も受けられる |
ポイント
頭金だけを出して住宅ローンを組まない場合でも、担保提供者として住宅ローンの連帯保証人や連帯債務者になる事が求められる場合があります。
収入合算の条件について
一般的に収入合算ができるのは、同居予定の配偶者、婚約者、両親、子供、などの1名に限られます。
兄弟姉妹は原則認められせんが、合算可能な直径親族や配偶者がいない場合には認められる場合もあります。
金融機関によっては、合算者の年収に条件を設けている場合があります。
申し込みには、収入証明の提出が必要になるため、扶養の範囲でパート・アルバイトで働く人は対象にならない事がまだ多いですが、アルバイトやパートでも収入合算できる金融機関はあります。
合算できる額も金融機関によって異なるため確認するようにしてください。
- 合算者の収入全額
- 合算者の収入の1/2まで
- 主たる債務者の収入の1/2まで
住宅ローン控除を2人とも受けたい場合には連帯債務者になるか、それぞれが住宅ローンを組みお互いの連帯保証人となる必要があります。
また、借入れ後に合算者が仕事を辞めたりして、収入が減った場合にも返済可能かを十分に考慮する必要があります。

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