(文・構成=編集部 住宅ローンアドバイザー・山知)
シングルマザーが子育てをしながら住宅ローンを組もうと考えた時、審査に通るか、将来に渡り返して行けるか、という不安も当然あるかと思います。
そんな不安を抱えるママさん達のために、おすすめの住宅ローンと借入のポイントを解説します。ぜひお読み頂き考え方の参考にしてみてください。
シングルマザーの住宅ローン審査について
シングルマザーは、住宅ローン審査において不利であるという固定観念を持たれている方が多くいらっしゃるかと思いますが、実はそんな事はありません。
住宅ローン審査では、借入人の職業や家族構成など、いわゆる属性が一部判断材料になりますが、母子家庭であるという事はそれほど重要ではありません。
現在の金融機関が最も重視をしているのが、「将来に渡り安定的な収入が見込めるか」「きちんと滞りなく返済が可能か」という点です。
もし仮に審査に通らない事があるとすれば、それはシングルマザーだからというわけではなく、金融機関が定める収入基準に達していない等の可能性が高いです。
ですので、毎月きちんと返済していけるだけの十分な収入があれば、シングルマザーだからとう理由で審査で不利になる事はありません。
シングルマザーでパート・契約社員、住宅ローンは借りれる?
現在は正社員ではない、契約社員やパート、アルバイト、フリーランスや自営業などの人にも融資をする銀行が増えて来ていますが、非正規社員の住宅ローン審査は正社員に比べると厳しめになります。
前述の通り、金融機関は「将来に渡り安定的な収入が見込めるか」「きちんと滞りなく返済が可能か」という点に重点を置いて審査するため、正社員と比べると不安定であると判断されてしまいます。
そんな場合に選択肢に入れてみたいのが、フラット35です。
フラット35は住宅金融支援機構と銀行などの金融機関が協力して融資を行い、雇用形態に関係なく申し込み前年の収入を元に審査を行います。
審査に通った場合の借入可能額上限は、年収400万円未満の人は返済負担率30%以下、年収400万円以上で35%以下という規定があります。
フラット35の返済負担率上限 | |
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税込年収 | 年収負担率 |
400万円未満 | 30%以下 |
400万円以上 | 35%以下 |
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返済負担率とは?いくら借りられるの?
返済負担率とは、その人の年収のうち住宅ローン返済に充てる金額の割合の事をいいます。
フラット35は借入可能額の上限が返済負担率で決められていますが、銀行などの民間の金融機関では返済負担率による借入額の上限は公表されていません。
なお、一般的には20〜25%の返済負担率が無理なく返済していける額と言われています。
返済負担率の求め方
返済負担率(%)=(年間の住宅ローン返済額 ÷ 年収)× 100
例えば、昨年の年収が300万円で、毎月6万円の住宅ローン返済をするとします。(ボーナス返済は無し)
計算方法
72万円(6万円×12ヶ月分) ÷ 300万円(年収) × 100 = 24
この場合の返済負担率は24%ということになります。
25%以内に納める事が望ましいという観点からは、この場合24%なので無理なく返済していける可能性が高い額という判断ができます。
ただ、より安全な返済プランを計画するのならば20%程度が理想といえます。
シングルマザーにおすすめのフラット35
フラット35は最長35年の全期間固定金利型の住宅ローンで、毎月の返済額が家賃を払うように一定で家計管理がしやすく、金利変動リスクもありません。
フラット35には多くのバリエーションがありますが、中でも、地方公共団体と、住宅金融支援機構が提携して融資を行い通常のフラット35よりも年0.25%金利が安くなる「子育て支援型」という子育て世代に嬉しいバリエーションタイプも用意されています。
利用をするには、お住いの地域の地方公共団体が住宅金融支援機構と連携を行っている必要がありますので、まずは確認をしてみましょう。
確認後、お住いの地域の地方公共団体が連携をしているようであれば、フラット35借入時に、【フラット35】子育て支援型・地域活性化型利用対象証明書を金融機関に「提出すればOKです。
自分の親や子供と協力して借りる
収入合算制度や親子リレーローンを使えば、一人で借りるよりも借入可能額が増えたり、借入期間を長くできたりと選択肢が増えます。
周囲に協力してくれる人がいるのであれば、よく相談をし検討してみましょう。
収入合算制度など
連帯債務 | 連帯保証 | 親子ペアローン | 親子リレーローン | |
詳細 | 自分と連帯債務者の2人で1本の住宅ローンを返済していく | 自分が住宅ローンを組み、連帯保証人が債務を保証する | 親、子それぞれが債務者になり住宅ローンを返済していく | 住宅ローンを親が借りて、将来的に子供が債務を引き継ぐ |
団体信用生命保険 | 自分のみ加入可能 | 自分のみ加入可能 | 親と子それぞれが加入可能 | フラット35は親、子どちらでも加入可能だが、一般的には子のみ加入可能なケースが多い |
住宅ローン控除 | 持分に応じて自分と連帯債務者、2人とも受けられる | 自分だけが受けられる | 持分に応じて親と子供の2人とも受けられる | 持分に応じて親と子供の2人とも受けられる |
事務手数料 | 1本分 | 1本分 | 2本分かかる場合がある | 1本分 |
保証人を頼む場合の注意点
連帯保証を自分の親に頼む場合、主たる債務者は自分になりますが、万一家計が悪化したり、さまざまな理由で住宅ローンが返せなくなった場合には、保証人が全額返済義務を追う事になります。
今現在は何の問題も無くても、将来何が起こるかは誰にも分かりません。
この点と、万一の場合に起こりうるリスクを双方理解したうえで、良く相談し決定するようにしましょう。
シングルマザーにおすすめの住宅ローン
ARUHI フラット35


ARUHI(アルヒ)は住宅ローン専門の金融機関でフラット35に最も力を注いでおり、その取り扱いバリーションは業界トップクラスです。
インターネットからの申し込みはもちろん、全国に店舗があるので対面式での申し込みも可能です。
自己資金の割合に応じて金利が低くなる、保証型のスーパーフラットも取り扱っています。
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フラット35(団信保険料込み金利) | ||||
返済期間 | 15〜20年 | 21〜35年 |
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融資率90%以内 | 1.23% | 1.35% |
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融資率90%超 | 1.46% | 1.61% |
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保証料 | 0円 | |||
団体信用生命保険 | 0円 | |||
融資事務手数料 | 借入金額の2.2%(税込) Webからの新規申込で1.1%(税込) |
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借入可能額 | 100万円以上8,000万円以内 (年収400万円未満:年間の返済負担率30%まで) (年収400万円以上:年間の返済負担率35%まで) |
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借入可能期間 | 15年以上35年以内(完済時年齢80歳まで) | |||
一部繰り上げ返済手数料 | 無料(インターネット) | |||
申し込み | インターネット/窓口 | |||
楽天銀行 フラット35


フラット35を取り扱う金融機関は沢山ありますが、金利については各社あまり差がありません。
実行上、金利で差別化を図る事が難しい仕組みがあるフラット35ですが、楽天銀行は、融資事務手数料を他社よりも低く設定し差別化を行っています。
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フラット35(団信保険料込み金利) | ||||
返済期間 | 15〜20年 | 21〜35年 |
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融資率90%以内 | 1.23% | 1.35% |
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融資率90%超 | 1.49% | 1.61% |
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保証料 | 0円 | |||
団体信用生命保険 | 0円 | |||
融資事務手数料 | 融資額×1.10%(税込) | |||
借入可能額 | 100万円以上8,000万円以内 (年収400万円未満:年間の返済負担率30%まで) (年収400万円以上:年間の返済負担率35%まで) |
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借入可能期間 | 15年以上35年以内(完済時年齢80歳まで) | |||
一部繰り上げ返済手数料 | 無料(インターネット) | |||
申し込み | インターネット | |||
住信SBIネット銀行


住信SBIネット銀行で取り扱う住宅ローンは、三井住友信託銀行の住宅ローンである「ネット専用住宅ローン」と「住宅ローン」「フラット35」の3種類があります。
住宅ローン(SBIマネープラザ)はネット銀行のメリットである低金利の住宅ローンを、対面形式で申し込みを行えます。
職業に関する制限を設けておらず、安定して継続した収入がある事が利用条件とされています。
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住宅ローン | ||||
変動金利 | 10年固定 | 35年固定 |
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0.390% 通期引き下げプラン | 0.650% 当初引き下げプラン | 1.470% 当初引き下げプラン |
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保証料 | 0円 | |||
団体信用生命保険 | 0円 | |||
融資事務手数料 | 借入金額の2.2%相当(税込) | |||
借入可能額 | 500万円以上2億円以下(10万円単位) 注:審査結果により異なります。 |
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借入可能期間 | 1年以上35年以内 | |||
一部繰り上げ返済手数料 | 無料 注:全額繰上返済時、固定金利特約期間中の場合33,000円(税込) |
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申し込み | 窓口 | |||
※適用金利は、記事作成時点の適用金利であり、金利情勢等により毎月見直されます。 所属銀行:住信SBIネット銀行株式会社 |
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まとめ:シングルマザーの住宅ローン
シングルマザーだからといってきちんと返済をしていけるだけの収入があれば、審査に不利になる事はありませんので住宅の取得を諦める事はありません。
非正規社員で安定した収入がある場合には、申し込み前年の年収で審査を行うフラット35(子育て支援型)の利用を検討してみましょう。
また自分の親や、子供などと協力して住宅ローンを返済していく方法もありますので、よく相談と検討を行い上手に借りるようにしたいです。
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住宅ローンアドバイザー
借りれる額よりも、返せる額という視点でのアドバイスをモットーとしています。趣味はギターと食べ歩き。ディズニーとテクノロジー好きの30代。無料住宅ローン相談や、寄稿も行っています。得意分野はFintech関連。詳しいプロフィールはこちら