住宅ローン減税(住宅ローン控除と同意)は、年末時点での住宅ローン借入残高の1%を上限に、最大10年間毎年の所得税が控除または還付されるというものです。
控除額は一般住宅で年間40万円、10年間で最大400万円。都道府県から認定を受けた長期優良住宅や低炭素住宅では年間50万円、10年間で最大500万円となります。借入金額や収入が多い(所得税が高い)人ほど恩恵を多く受けます。
イメージとしては、『国が金利の1%を10年間だけ負担してくれる』と考えると理解しやすいでしょう。
→2022年から住宅ローン減税の内容が変更になります。
これまで | 2022年〜 | |
控除率 | 1% | 0.7% |
期間 | 10年 | 新築:13年 中古:10年 |
残高の上限 | 4000万円 | 3000万円 |
年間の控除額 | 40万円 | 21万円 |
最大控除額 | 400万円 | 新築:273万円 中古:210万円 |
コロナの影響を受け、住宅ローン減税の期間が13年に延長される措置が取られています。
対象は以下の条件を満たす方です。
- 契約期限(注文住宅は令和2年10月~令和3年9月、分譲住宅等は令和2年12月~令和3年11月)と、入居期限(令和3年1月~令和4年12月)を満たす方が対象。
- 上記の控除期間13年の措置の延長分については、床面積要件を40㎡以上に緩和。(40㎡以上50㎡未満については、合計所得金額1,000万円以下の方限定)
住宅ローン減税(住宅ローン控除)を受けられる要件
- 合計年収が3,000万円以下である事
- 床面積が50平方メートル以上である事
- 住宅ローンの返済期間が10年以上である事
- 配偶者や、親族から購入した住宅でない事
という条件を満たしている必要があります。
なお、比較的年収が低く所得税から引ききれない場に合には、代わりに翌年の住民税から最大で13万6,500円差引かれる事になります。さらに残ってしまった減税枠を埋める『すまい給付金』という制度もあります。
申請には難しそうなイメージを持つ人も多いかと思いますが、基本的には『源泉徴収票』や『登記事項証明書』の内容を書き写すだけなので、住宅を購入した際には必ず手続きを行うようにしましょう。
いつ減税の申請をすればいいの?
会社員の還付申告は年初から受付け開始で、自分で確定申告をするのは最初の1年だけです。
2年目からは会社が年末調整で計算をし還付してくれます。
自営業の人が減税を受ける為の確定申告は、住宅を購入した翌年の2月16日〜3月15日までに移住地を担当する税務署に提出し、申請後の2〜3ヶ月後には指定した口座に還付金が振り込まれます。(自営業の人は通常の確定申告の中で住宅ローン控除を10年間で申請します)
実際どれくらいトクできるか
まずは住宅ローン減税により、自分がどの程度控除を受けられるかを確認してみましょう。
ごく一般的な条件で、所得税と住民税の10年間の控除額を試算したたものが以下のマトリクス表になります。
年収 | 住宅ローン借入額 | |||
- | 2000万円 | 3000万円 | 4000万円 | 5000万円 |
400万円 | 160万円 | 162万円 | 162万円 | 162万円 |
500万円 | 173万円 | 240万円 | 243万円 | 243万円 |
600万円 | 173万円 | 260万円 | 308万円 | 309万円 |
700万円 | 173万円 | 260万円 | 346万円 | 385万円 |
800万円 | 173万円 | 260万円 | 346万円 | 396万円 |
900万円 | 173万円 | 260万円 | 346万円 | 396万円 |
1000万円 | 173万円 | 260万円 | 346万円 | 396万円 |
例えば、年収400万円で、住宅ローンの借入額が2,000万円の場合は10年間の控除額は、およそ160万円となります。
基本的には、高収入で住宅ローンの借入額が多い人ほど控除額も大きくなります。
10年間の控除額が最大の400万円となるのは、目安として年収800万円以上で、住宅ローンの借入額が5,000万円以上の場合と少々ハードルが高いです。
年収400万円〜700万円で、借入額200〜300万円前後のという一般的なケースの場合での控除額は10年間で160〜350万円程度となります。
認定住宅は100万円増
さらに長期優良住宅や、低炭素住宅の場合は控除額が100万円プラスされます。
一般住宅 | 認定住宅 | |
---|---|---|
最大控除額 | 400万円(年間40万円) | 500万円(年間50万円) |
住民税からの控除上限 | 13万6500円 | 13万6500円 |
控除期間 | 10年間 | 10年間 |
申請に必要な書類
住宅ローン減税の申請には以下の書類が必要になります。
①住民票の写し
居住開始時期を確認するためのものです。時期により合計控除額に差があります。
もらえる場所:市区町村の役場
②借入金の年末残高証明書
借入金の年末残高を確認するためのものです。契約時に年一回金融機関から送付されるように手続きしている場合が多いです。
もらえる場所:借入先の金融機関
③登記事項証明書
住宅の取得年月日や床面積が50平方メートル以上である事を確認するためのものです。
もらえる場所:法務局出張所
④売買契約書の写し
家屋、土地についての売買代金を確認するためのものです。注文住宅の場合は請負契約書の写しも必要になります。
もらえる場所:不動産会社など
⑤源泉徴収票
所得税額や社会保険料を確認するためのものです。
もらえる場所:勤務先
⑥確定申告書A と 計算明細書
確定申告書A 第一表、第二表 ・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書。
(確定申告書はBではなくAなので注意が必要)
もらえる場所:税務書、国税局HP
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住宅ローンアドバイザー
借りれる額よりも、返せる額という視点でのアドバイスをモットーとしています。趣味はギターと食べ歩き。ディズニーとテクノロジー好きの30代。無料住宅ローン相談や、寄稿も行っています。得意分野はFintech関連。詳しいプロフィールはこちら